4月24日、民間組織「人口戦略会議」が将来的に「消滅の可能性がある」とみなした744市町村の一覧公表した。
 埼玉県では秩父市など16市町が該当するとしている。

 【埼玉で16市町村が消滅か…行田市や秩父市も 西部と北部・秩父地域が目立つ傾向 若年女性が減少も 前回調査の「消滅する可能性」から脱却した市町は】(4月25日 埼玉新聞)

 16市町は県西や県北地域に集中している。
 市では秩父市、行田市。
 町では越生町、小川町、川島町、吉見町、鳩山町、ときがわ町、皆野町、横瀬町、寄居町、長瀞町、小鹿野町、神川町、松伏町。
 村では東秩父村。

 この調査では、子供を産む中心世代である20~30代女性の数にスポットを当てている。

【若年女性の減少割合が低いのは】
 2050年と2020年との比較において、若年女性の減少率が低いと推定される市町は次のとおり。
 自然増(減)だけでなく社会増(減)も加えた推計だ。

01 滑川町  1.7%
02 吉川市 ▼3.3%
03 朝霞市 ▼6.2%
04 戸田市 ▼6.7%
05 志木市 ▼7.5%
05 新座市 ▼7.5%
07 和光市 ▼707%
08 伊奈町 ▼8.3%
09 八潮市 ▼8.5%
10 川口市 ▼8.6%

 唯一若年女性の割合が増加すると推定されているのが滑川町だ。
 今回調査で全国で65自治体が「自立持続可能性自治体」とされているが、そのうちの一つ。
 ただ現在総人口2万人ほどの小さな町なので実数としてはそれほど多くない。

 市の規模(現在総人口)では川口市(59.3万)が群を抜いている。
 川口市の場合、自然減の割合は高いが、移住による社会増の割合が高いと推定されている。
 この他、市の規模(現在総人口)では、新座市(16.6万)、朝霞市(14.3万)、戸田市(14.2万)が10万人超え。
 八潮市(9.4万)和光市(8.5万)、志木市(7.5万)、吉川市(7.2万)が5万人超え。
 伊奈町(4.5万)と滑川町(2.0万)が5万人以下である。
 ※現在人口は2023年12月の埼玉県統計による(四捨五入)。

【比較的減少割合が低いのは】
 次は上記10市町に次いで若年女性減少割合が低いと推定されている市町だ。

11 ふじみ野市 ▼11.1%
12 三郷市   ▼11.8%
13 さいたま市 ▼12.2%
14 三芳町   ▼12.6%
15 越谷市   ▼13.3%
16 蕨市    ▼14.4%
17 川越市   ▼15.0%
18 富士見市  ▼15.8%
19 白岡市   ▼16.6%
20 草加市   ▼16.7%

 県下人口第1位のさいたま市(134.6万)、3位の川越市(35.4万)、5位の越谷市(34.0万)、6位の草加市(24.9万)などが含まれている。
 人口4位の所沢市(34.2万)は「▼17.6%」で減少割合では21番目となっている。
 蕨市(14.4万)、三郷市(14.1万)、ふじみ野市(11.3万)、富士見市(11.3万)が現在人口10万人超え。
 白岡市(5.2万)がぎりぎり5万人超え。
 三芳町(3.8万)は5万人に満たない。

 蕨市は減少割合が比較的低いとされているが、若年女性の自然減が52.9%と、毛呂山町に次いで県で2番目に高い。出生・死亡による自然減が大きいのに社会減がそれほど大きくないのは外国人住民の増加が見込まれるからだろう。

【若年女性の減少割合が高いのは】
 若年女性の減少割合が高いと推定されているのは次の市町だ。

54 横瀬村  ▼58.6%
55 鳩山町  ▼58.2%
56 長瀞町  ▼62.1%
57 越生町  ▼62.2%
58 川島町  ▼62.6%
59 ときがわ町▼66.9%
60 小川町  ▼69.4%
61 吉見町  ▼70.5%
62 小鹿野町 ▼74.9%
63 東秩父村 ▼79.4%

 県西部、県北部・秩父地域に集中している。

【その他の市町】
 最後に比較的規模が大きい(人口が多い)市について見ておこう。

 現在人口7位の上尾市(22.8万)は「▼20.6%」と比較的低い割合だが、8位の春日部市(22.7万)は「▼38.9%」、9位の熊谷市(19.1万)は「▼36.3%」と高めである。
 その他人口10万人以上の市では、久喜市(14.9万)が「▼35.8%」、狭山市(14.8万)が「▼34.7%」、入間市(14.3万)が「▼37.1%」、深谷市(14.0万)が「▼37.2%」、鴻巣市(11.7万)が「34.1%」、加須市(11.1万)が「▼41.2%」などとなっている。

 以上はあくまでも推定である。
 今回調査でも、前回(14年)消滅可能性自治体とされていた飯能市、北本市、三郷市、幸手市、嵐山町、美里町、宮代町は脱却している。
 このまま若年層を中心とした自然増対策、社会増対策を講じなければという話である。

本日の記事の元になったデータはこちら。
令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート(令和6年4月24日 人口戦略会議)