よみうり進学メディアの取材で杉戸高校に行ってきた。
 同紙埼玉版11月号の特集は「これが高校の授業だ」。
 授業を丸々1時間参観し、その様子を伝える。
 毎年4校を取り上げているが今年は埼玉栄、開智未来、県立杉戸、県立所沢北というラインアップ。

 埼玉県内全公立中学校の2・3年生に中学校を通じて配布しているので中学生にはおなじみだが高校や塾の先生方はご覧になる機会が少ないだろう。
 こんな感じの紙面だ(1年前の同じ特集)
 ↓
 よみうり進学メディア埼玉版 2023年11月号
 上記の紙面で言うと、私が書いているのは1面記事、2~3面特集記事、4~5面Q&A。
 このうち1面と4~5面は東京版・神奈川版・千葉版と共通記事で、2~3面は埼玉版独自記事。

 創刊から20年以上書き続けているが、そろそろバトンタッチすべき時期だと考えている。
 この程度なら自分でも書けると思った方はぜひ名乗りをあげていただきたい。

◆今年4回目の杉戸高校
 1回目(4月)トヨタ自動車役員・大塚さんの講演会を取材。
 2回目(5月)教員研修会で生徒募集について講演。
 3回目(6月)塾説明会参加。
 4回目(10月)新聞取材。

 今月末に第1回進路希望調査(10月1日現在)結果が発表されるが、同校の希望者数・倍率が気になる。
 令和3年度から5年度まで、第1回調査時点では1倍を割っていた。つまり定員割れ状態。
 しかし昨年度(6年度)第1回は1.17倍と急上昇し、最終的には1.20倍(志願先変更後)まで上がった。
 その結果、53人の不合格者が出た。
 一般的には驚くような数字ではないが、同校の令和元年度から5年度まで5年間の総不合格者が46人であったのを知れば、かなり衝撃的な数字だと分かるだろう。
 ほとんど落ちる心配のない学校から、もしかしたら落ちるかもしれない学校に変わった。
 さあ大変。
 こうした場合、その翌年、回避の動きが出ることが多い。
 上位校と違って偏差値帯で50前後の受験生はこのあたり割と敏感に反応する。
 その意味で、今年の第1回調査に注目しているわけである。

◆1.30倍をクリアできるか
 教員研修会で「令和7年度の第1回は1.30倍が目標」と述べた。

 直近5年間の第1回における全県普通科平均は(1.31→1.29→1.28→1.28→1.27)と推移している。
 したがって令和7年度の全県普通科平均は1.26~1.27倍と予想できる。
 それを上回るには1.30倍という数字が必要だ。

 これまでの説明会等の集まり具合を見ると、いずれも満員となっているので、どうやら1.30倍はクリアできそうだ。
 ことによると1.4~1.5倍超えもあるかもしれない。
 そうなると本番に向けて回避の動きが出てきて倍率は下がるパターンとなる。
 第1回調査がピークというのは、いわゆる上位校や人気校によくあるパターンなので、実現できれば同校にとって悪いことではない。

◆ポジショニングの重要性
 どんな分野でも空いているポジションというものがある。
 そこを目指せばレギュラーポジションを獲得できる。
 杉戸高校の例で考えてみる。
 「東部地区」「公立」「普通科」「共学」に加え「進学校」という条件で見てみると、不動岡・越谷北・越ヶ谷が不動のレギュラーと言えるだろう。
 それに次ぐのが春日部東・越谷南、あるいは草加あたりとなるが、杉戸高校はこのレベルで定位置をつかみたいところだ。
 特に、宇都宮線の久喜以東、東武伊勢崎線の春日部以北となると、不動岡の次がポッカリと空いている。大空白地帯と言っていい。杉戸高校が狙うのはこのポジションだろう。
 エリア的には春日部東が競合しそうだが、あちらは文武両道を校訓に掲げる学校であり、特に運動部を前面に出してくるのである意味差別化がしやすい。

◆リーダー育成に踏み込めるか
 杉戸高校が、不動岡・越谷北・越ヶ谷、あるいは男子校だが春日部の次のポジションを獲得できるかどうか。
 そのキーワードとなるのは「リーダー」である。
 これらの学校に共通するのは教育目標や教育方針の中に「リーダー」という語が登場することである。

 一朝一夕で出来ることではないが、「リーダー」や「リーダーシップ」という語が教育目標や教育方針の中に登場した時、杉戸高校は次のステージに足を踏み入れることになるだろう。

 4月の講演会を取材に行ったことを書いたが、その理由を言っておこう。
 テーマが「リーダーシップ」だったからだ。
 杉戸高校、分かってるじゃないか。