先生たちは死ぬほど忙しいというけれど盗撮している暇はあるんだな。

 昔は盗み見たい心理はあったとしても技術的に難しくて実行に移せなかったが、今は簡単にできる。
 試しに「盗撮用カメラ」でGoogle検索してみると隠しカメラや超小型カメラがこれでもかと出てくる。
 これはスマホを規制したぐらいでは済まんぞ。
 むろん多少の抑止効果はあるかもしれないが、そういう性向を持った人間は常人には考えつかないような技を編み出し実行するのだ。

 かつて盗撮は都道府県条例(迷惑防止条例)で処罰されていた。
 まあ条例なんで罰則はきわめて緩い。
 それに地域によって盗撮の定義も罰則も違ったりする。

 条例以外では軽犯罪法で処罰する方法も考えられるが、その名のとおり軽いのである。
 
 で、さすがにこれではまずいということで撮影罪というのができた。
 これは法律であるから当然ながら全国一律。
 正式名称は「性的姿態等撮影罪」。
 撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑。
 他の犯罪とのバランスを考慮し定められたのだろうが、ちょっと軽すぎる印象。

 厳罰化により抑止効果を狙うという考え方が昔からある。
 失うものの大きさを考えて思いとどまる可能性が高いからである。
 かつて飲酒運転はそれほど重い処分は科せられなかったが厳罰化により大きく減った。危険運転致死罪が制定されてからはさらに減った。
 そう考えると盗撮の罰則をさらに厳しくすればこれまで以上の抑止効果が期待できるかもしれない。

 だが、厳罰化は良いことばかりではない。
 麻薬や銃に関する取り締まりや罰則を強化すると表面的には犯罪は減るが、手口が巧妙化したり、アンダーグラウンド化し、かえって摘発が難しくなったりすることもある。

 先生が児童生徒を盗撮したり、児童生徒に対してわいせつ行為を働くと必ずニュースになる。
 これに対し、そうした行為をする先生はごく一部であるが、先生という職業柄人々の興味を惹きやすいのでニュースになりやすいのだと考える人がいるだろう。
 まあそのとおりで割合としてはごくごく一部であり、普通の教員は盗撮したりわいせつ行為に及んだりはしないわけである。

 しかし、ここで考えておかなければならないのは、先生はその種の犯罪を引き起こしやすい環境におかれているということだ。つまり、対象が常に目の前にいるわけである。強い立場を利用することも可能なわけである。言葉は適切ではないが誘惑が多い職業なのだ。
 誘惑を断ち切るには対象から離れるという方法があるが、それでは仕事にならない。ここが難しいところだ。
 先生たちは自身の意図は別として、紙一重のところで児童生徒と接している。
 自分は関係ない、自分は大丈夫と思わないほうがいいいのかもしれない。