なんか大げさなタイトルだ。
 暑さにやられたか、お盆休みが近づいて浮かれているか、どちらかだ。

 今日は「よみうり進学メディア9月号埼玉版」の取材で武南高校ダンス部を訪ねた。
 部活特集はこの時期の恒例企画だが、ここ数年の取材先を振り返ると興味深い傾向が見えてくる。

 同紙の9月号特集では例年3校を取り上げるが、2023年が叡明高校ダンス部、24年が熊谷女子高校チアリーディング部、25年が山村学園高校バトン部、そして今年が武南高校ダンス部。
 公私立や地域のバランスに配慮してこちらから取材校を選び、学校側から「いま最もおすすめの部活動」を推薦してもらう形式をとっているが、なんと4年連続で「踊る系」の部活動が挙がってきた。
 各校とも運動部・文化部含めて多数の部活動を擁する中でのこの連続指定は、単なる偶然ではなく現代の明確なトレンドを示している。

 かつて高校の「顔」といえば、野球やサッカーなど伝統的な球技系運動部だった。もちろんそれらの人気も健在だが、今やダンスをはじめとする「踊る系」も、学校を代表する人気部活の筆頭に数えられる。

◆「踊る系」の柔軟性と利点
 なぜ学校側はこれほど「踊る系」を推薦し、また、生徒もひきつけられるのか。

 利点の一つは、出場人数の柔軟さにあるだろう。野球やサッカーのような決まった規定人数がなくても大会に参加できる。少人数のジャンル(スモールクラス)から40人規模の大人数(ビッグクラス)まで幅広く設定されており、同一校から複数チームがエントリーすれば、極端な話「部員全員が出場できる」仕組みがある。

 生徒募集における貢献度も高い。生徒たちは自身の目標に全力投球しているだけだが、魅力的なダンス部の存在自体が中学生の志望校選びに少なからず影響を与えている。

 この良い意味での「緩さ」や自由さは、「踊る系」が学校教育や高体連(全国高等学校体育連盟)から離れた場所から出発し、民間主導で発展してきたからだ。商業主義的な色合いも含むが、硬直化しない自由さこそが最大の魅力と言える。

◆「日本一の乱立」が示す多様性と将来への展望
 民間主導で発展した結果、現在の高校ダンス界では各種新聞社や企業、連盟主催の大会がさまざま行われている。それも年1回ではなく、年3回(春・夏・冬など)だったりする。さらに、部門も細分化されている。つまり「主催者(新聞・メディア・企業・連盟)×年間開催回数(春夏秋冬)×カテゴリー(人数・ジャンルなど)」と計算して行くと、相当数の「日本一」や「全国大会出場」が誕生していることになる。
 
 今ちょうど夏の甲子園大会が行われているが、「踊る系」の世界には、他競技のような明確な権威は存在していない。専門家の間では定まっているのかもしれないが、世間一般には権威は分散しているように見える。

 だが、特定の主催者の下に権威が収れんして淘汰されるより、目標や励みとなる「日本一」が多く存在する方が、生徒たちの意欲や多様な活躍の場としては好ましいとも言える。

 今後の高校ダンス界は、大会の淘汰ではなく「棲み分けと質の向上」へ向かうだろう。『ダンススタジアム』や『DCC』といった大型大会がメジャータイトルとしての権威として確立して行く一方で、技術やテーマ性、表現力に特化した専門大会がそれぞれの価値を発揮していく。
 「踊る系」部活が持つこの自由さと懐の深さは、今後の学校教育や部活文化にどのような新しい風を吹き込み続けるのか。その将来が楽しみである。