花咲徳栄初戦敗退は誠に残念な結果であるが、菅原謙伸捕手のナイスプレーは全国の高校野球ファンに強い印象を残したんじゃないかな。
 YouTubeにいろんな動画がアップされているので、リアルタイムで見られなかった人は、そちらを見てください。
 たとえば、こんなのがあります。
 菅原、死球拒否して本塁打の場面
 
 野球に詳しくないという人のために説明しておこう。そういう私も野球は見る専門でやったことはないわけだけど。

 回は終盤の7回。一死走者なし。バッターは9番菅原。1点負けている花咲徳栄は菅原が何とか出塁し、上位につなげたいところ。ここで明石商業・中森投手の投じた2球目が菅原の左腕を直撃。普通なら死球(デッドボール)で出塁しチャンス到来となるところだが、何と菅原は「死球じゃありません」アピール。自分のよけ方が間違っていたので、死球にしないでくださいと審判に求めたのだ。
 
 緩い変化球だったし、たしかによけられない球ではなかったと思うが、と言ってわざと当たりに行ったようにも見えない。審判が故意に当たりにいったと判断すれば死球とはならずボールの判定となるが、微妙なところだ。両チームに不満が残るだろう。

 そこで男前・菅原、「では、今のは無かったことに」とばかりに審判にボール判定を要求。これで相手チームから発せられるであろう「わざとぶつかったろう」クレームも制した。審判に一礼、相手バッテリーに一礼、相手ベンチにも一礼。こうまでされては誰も文句は言えない。もしかしたら花咲徳栄ベンチだけは、「菅原、何考えてんだ。塁に出てチャンス広げる場面だろ」と思ったかもしれない。

 ところが菅原、次の一球で文字通りの一発回答。レフトスタンドに同点ホームランを叩きこんでみせた。まるで野球漫画だ。

 そうか、「死球いりません」は「次、ホームラン打つんで」という意味だったのか。いや、そんなはずはない。なにせこの一発は菅原にとって公式戦初ホームランだったのだから。 
 試合に負けたのは悔しいだろうが、チームメートや同級生や応援してくれたみんなの心に深く刻まれる1本になったことを祝福しよう。