「よみうり進学メディア埼玉版」の取材で聖望学園を訪ねた。
 学校は飯能市にある。

 今日は珍しく車で行ったが、浦和から1時間40分ほどかかった。外環~関越道~圏央道と高速を使えば1時間ちょっとで行けるが、ナビを見たら高速料金が片道2400円と出ていたのでコスト削減のため一般道を選択した。
 ちなみに電車を使うと、京浜東北で南浦和、武蔵野線に乗り換えて新秋津へ、秋津で西武池袋線に乗り換えて飯能又は東飯能まで、となる。奥武蔵にハイキングに出かける際、よく利用しているルートだ。

◆指導者は元プロ選手 
 9月号の特集は例年、部活動と決まっている。
 今回は、発行元である読売エージェンシーの強い勧めもあり、同校女子バレーボール部を取材することになった。
 指導者が元プロ選手というところが面白そうというのが推薦理由だが、担当営業のM君が飯能市在住という理由もありそうだ。

 東京の学校1校と埼玉の学校1校(星野高校)を招いて練習ゲームを行っていた。
 その合間を縫って取材する。

 顧問(監督)は元プロの原田美愛実(はらた・みなみ)先生。
 何センチか聞くのを忘れたが、さすが元プロだけあって背が高い。
 出身は秋田県。
 「えーと、そうすると由利か角館南あたりですか?」
 と、一応こちらも元女バレ顧問なもんで、全国の強豪校はすぐに出てくる。

 大学卒業後は、V2リーグの柏エンゼルクロス(現・千葉エンゼルクロス)に所属しプレーヤー、スタッフとして活躍した。
 このチームは医療法人が母体となっていることもあり、原田先生も介護の仕事に携わった経験があるというが、今回は詳しくは聞けなかった。
 ちなみに、医療関係と言えば、地元埼玉の上尾メディックスもその名の通り、病院を母体として結成されたチームだ。

◆激戦西部地区を勝ち抜けるか
 原田先生は、3年前からコーチに就任し、昨年4月から正式に教員となった。

 ここで、県内の女バレ勢力図を概観してみると、とにかく西部地区が圧倒的に強い。
 今夏のインターハイ埼玉県予選は優勝が細田学園、2位が春日部共栄、3位が狭山ヶ丘、4位が正智深谷と、ベスト4のうち2校が西部地区だ。
 その下のベスト8を見てみると、西部地区の市立川越と埼玉平成、それに東部の昌平、北部の本庄第一。
 という具合で、ベスト4もベスト8も半分は西部地区が占めるという情勢だ。
 
 こいつはなかなか大変だ。
 が、まあ裏を返せば激戦西部地区を勝ち抜けば、そのまま県上位が約束されるということだ。
 平均身長160センチ前半という小柄なチームだけに、高さ任せ、力任せというわけには行かず、スピードとコンビに活路を見出すしかないだろう。 
 科学的トレーニングや緻密な戦略・戦術は元プロだけにお手のものだ。埼玉の女子バレー界に新風を吹き込んでもらおう。あと、女バスに負けるな。

◆なぜ元プロを指導者に迎えるのか
 原田先生にインタビュー中、関純彦校長先生がふらりとやってきた。
 あれ? 今日は校長の取材あったっけ? 聞いてないぞ。
 でもまあ、ちょうど良かった。サッカー、バスケ、バレーと立て続けに元プロ選手を教員採用している理由を聞いてみよう。

 関校長先生は、自然体の人だ。熱弁をふるうというタイプではなく、穏やかに淡々と語る。
 その背景には確かな教育理念と哲学、それにキリスト教系学校特有の思想を持ち合わせているが、一方で現実的な経営戦略も忘れない。
 こういう人、インタビューしやすいんだね。

 校長先生は、部活動のあり方を変えたいと語っていた。
 教員採用の基準は、単なる競技経験者ではなく、社会人として、また、プロフェッショナルとして「高みを見てきた人」。
 彼らの知識と経験を学校教育の中に取り込むことで新しい価値を創造する。

 もちろん、チーム強化とそれに付随する生徒募集強化という意味合いがあるのは当然だが、今までにない部活指導者像を創り上げようというのが真のテーマである(私の理解が間違っていなければ)。
 このあたり、つまり部活のあり方、部活顧問のあり方については、私も大いに注目しているところなので、別の機会にさらに突っ込んだ取材をさせてもらおう。
 
  

 今回の取材記事は、9月3日発行の「よみうり進学メディア」(全県の中学2、3年生に配布)に掲載される。WEBサイトでも見られるので、高校や塾の先生方は是非そちらをご覧いただきたい。