新聞・テレビ等の報道で皆さんご存知と思うが、文部科学省から「学校で児童生徒等や教職員の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドラインの送付について」という通知が各都道府県教育委員会等に出された。

 発信元は、初等中等教育局健康教育・食育課。健康教育は分かるが、食育を担当する課があるんだ。知らなかった。
 別添資料は「学校で児童生徒等や教職員の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドライン(第1版)」とされている。
 状況の変化によって、第2版、第3版を出すわけだ。

 今回示されたのはガイドライン(指針)である。
 「地域の感染状況等に応じた対応の参考としてください
 「既に各地域で同様の基準がある場合には、それによっていただいて構いません」
 などと断っている。

 学校で感染者が確認された場合、児童生徒は出席停止となる。
 いきなり出席停止など言われると焦ってしまうが、学校保健安全法に定められた出席停止(出停)だからインフルエンザなどと同じ扱いということだ。
 この場合、欠席にはならない。
 職員は、病気休暇等の取得、在宅勤務、職務専念義務の免除(職専免)といった扱いになる。

 濃厚接触者特定のための調査は、保健所の仕事だが、学校側も協力してくださいと書いてあるので、学校側としても判断基準を検討しておく必要はありそうだ。

 臨時休業の判断については、「範囲や条件等を事前に検討し、公表しておくことが適切」とされている。
 「既に感染が顕在化した時点で、臨時休業を行ったとしても感染の拡大がさらに広がる可能性があることに留意してください」とあり、臨時休業の判断は早めであることが求められている。
 しばらく様子を見てというのはダメですよということか。

 学級閉鎖 → 学年閉鎖 → 学校全体の臨時休業という順番になるのはインフルエンザなどの場合と同様だ。
 学級閉鎖となる状況は4つほど例が挙げられているが、その中に「1名の感染者が判明し、複数の濃厚接触者が存在する場合」があるから、一人でも感染者が確認されたら学級閉鎖ということになりそうだ。

 いずれにしても現段階においてはフルスペックの教育活動は当分無理と考え、分散登校とオンライン授業の併用ないしは全面オンラインへの切り替えを急がなければなるまい。
 これまで学校は主に、感染者を出さないための「感染症対策」が求められてきた。
 が、今求められているのは、感染者が出ることを前提に、その場合どう対処するか、である。
 
 学級閉鎖等が広がると、塾への影響も避けられないだろう。
 感染を拡げないための措置であるから、その間に学校と似た環境や条件である塾に行かせていいのかという問題も当然出てくる。

 高校が行う学校説明会等もそうだ。
 学級閉鎖・学年閉鎖中の中学生を集められるかという話にもなる。

 学校を休みにすれば感染拡大は止むのか。
 いや、それはないだろう。
 
 東京都の事例だが(NHK資料より)、たしかに10代以下の感染者割合は増加しているが、感染者の80%を占めるのは20代から50代である。ここを減らさないと全体を減らすことはできない。
 意味が無いとは言わないが、効果は限定的にならざるを得ないだろう。

 子供の命と健康を守ると言えば誰も反対できないので、策に窮した政府がその場しのぎで出してきた方針とも見える。
 だが、普通に学校やってる場合じゃないだろうというのが世の中のムードなので、逆らえない。
 2学期の始まりはとんでもないことになってしまった。