厚生労働省から「令和2年(2020)人口動態統計」が発表された。
 まずは大枠を知るために記者発表資料↓
 記者発表資料

 出生数は低下した。
 合計特殊出生率も低下した。
 
 細かなデータをご覧になりたい場合は、こちらで各種統計表が見られる。↓
 令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況

◆出生数、過去最低
 出生数は6年連続で過去最少を更新した。
 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、婚姻数が減り、妊娠を控える動きも強まったとのことだ。
 過去データを見ると、減少ペースが加速していることが分かる。
 このまま3万人ペースで減少して行くと2年後には80万人を割ることになる。

◆埼玉県出生数は全国5位
 都道府県別出生数を見てみると、埼玉県は4万7328人で全国5位である。
 結局、現在の人口順ということになるが、埼玉県より上位の都府県は次のとおりである。
 1東京都  9万9661人
 2大阪府  6万1878人
 3神奈川県 6万0865人
 4愛知県  5万5613人
 
 埼玉の4万7328人はなかなか大きな数字であることは、東北6県で4万9966人、中国5県で4万9586人、四国4県で2万2884人などと比較してみれば分かる。

◆埼玉は100年連続、人口増
 ここまで出生数の話だったが、人口という点では驚くようなデータがある。
 総務省による2020年10月1日現在の人口推計で埼玉県は前年同期比3千人増の734万5千人となった。
 比較が困難な終戦前後を除けば、47都道府県で唯一、1920年の統計開始から100年にわたり人口増が続いているというのだ。
 埼玉新聞記事↓
 
 全国で出生数が減少しているが、転入者が多い埼玉県は、今後も極端な人口減はなさそうで、そこはちょっとホッとできる。

◆学校や塾は5年、10年先を見た戦略必要
 とは言え、出生数が急減している以上、人口は徐々に減って行くわけで安心はしていられない。
 こんなグラフを作ってみた。
 

 2022年度に12歳となるのは2010年生まれ、15歳となるのは2007生まれということになる。
 12歳は中学受験、15歳は高校受験を迎える年代だ。
 出生数で見ており、転入者は考慮に入れていないが、5年後、10年後の受験生の減少が予想できるデータではないか。
 前述のように埼玉は転入者が多いから、受験生で見れば傾きはもう少し緩やかになるが減少に向かうのは間違いない。

◆ゆでガエルにならぬよう
 皆さんは、「ゆでガエルの法則」とか「ゆでガエル現象」という言葉をお聞きになったことがあるだろう。
 変化がゆるやかだと、迫りくる危機になかなか気づけないことを表す言葉だ。
 カエルを熱湯に放り込めばすぐに飛び出すが、冷たい水を火にかけ徐々に水温を上げて行くと、カエルは温度変化に気づかず逃げ出さないため、最後は熱湯でゆで上がって死んでしまう。
 
 まあ実際は熱湯に放り込めば飛び出す前に死んでしまうだろうし、ある一定温度になれば、さすがに行動を起こすだろうから、あくまでも例え話だ。

 この話は、個人や組織が陥りやすい失敗をかなり的確に表している。
 状況は刻々変化しているのに「まだ大丈夫だろう」とぬるま湯気分に浸っている。
 が、そのうち手が付けられないほど状況が悪化してしまう。
 不利なデータからは目を背けたくなるものだが、勇気をもって直視しなければなるまい。
 時が経つほど打てる対策が少なくなって行く。