これは政治的パフォーマンスにしか見えんな。
 富山県立高校の定数削減案に、氷見市長と立山町長が反対を表明した件。

 むろん県立高校に関することであるから、市長村長には何の権限もない。
 県教委は5校で1学級ずつ減らすことを決定した。
 「富山県内の県立高校定員削減で市と町のトップが異例の反対表明…その背景や今後の展望は」(富山テレビニュース)
 「氷見市長と立山町長が反対意見も“氷見・雄山”など5県立高校で1クラス削減決定 富山県教育委員会」(富山テレビニュース)

 今回は定数削減(学級減)だが、この先に待つのが統廃合であるのは火を見るよりも明らかだ。
 世間では統廃合を合併のように思っている人も多いが、そういう例も無いわけではないという程度で、統合する一方の学校の事実上の廃校である。
 そうならないためには、まずは定員を満たすこと。
 さらには倍率を出すことだ。

 立山町長も言う通り、定員削減し学校規模が小さくなれば「部活動が制限され、学校自体の魅力が大幅に低下する」のである。
 そして、「このまま廃校の方向に持って行っているようにしか見えない」(同町長)のもその通りだ。
 
 だが、そういう危機感があるのなら、これまで何か手を打ったのか。
 
 高校側は定員確保のための努力はしていると思う。
 ただ、根本の問題は少子化なのだ。
 今回定数削減の対象校には、氷見(氷見市)、雄山(立山町)のほか、富山中部・高岡・富山といった県立トップ校も含まれる。
 埼玉を含む首都圏及び関東では、公立トップ校ほど高倍率となるのが通例だが、富山では東大に2ケタ入るような進学校であっても、驚くような高倍率にはならない。
 そこが問題なのだ。
 (併願の受け皿となる私立が少ないというのもあるが、ここではその問題に深入りしない)

 とにかく、これ以上人口を減らさない。
 それが無理でも何とか人口を維持する。
 願わくば少しでも人口を増やす。

 これが出来なければ、県教委としても財政負担やら何やらを考え、定数削減や統廃合という策を取らざるを得ない。

 氷見市の林正之市長は「(学級数削減で)相当な教育格差が生じ、市の更なる過疎化、人口減少を招く」(読売オンライン記事より)と述べているが、順序が逆だ。
 市の過疎化、人口減少が、今回のような事態を招いたのだ。

 方針が覆らないことが分かった時点で、一応反対のポーズだけは取って見せる。
 そうすれば、さらなる過疎化、人口減少となっても、反対を押して定数削減や統廃合を進めたからだと言える。
 いかにも政治家らしいやり方だ。