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高校入試控える中3の8割「内申書を意識」…先生から「内申書に書くぞ」15%(11月10日 讀賣新聞オンライン)
時節柄、読者の食いつきが良かろうとい判断したと思われる。
東京大学の教授(教育社会学)が、全国の高校生男女3000人に対し、2020年3月に「中3の1学期に内申書をどの程度意識したか」などを尋ねた。
相変わらずこの世に存在しない「内申書」を使い続ける意味が分からないが、この方が「調査書」よりも通りが良いということだろう。
それはおくとして、記事冒頭、「内申書は、生徒の成績や活動を記録した指導要録を基に教師が作成し、出願先の学校に提出する文書」とある。
内申書(調査書)は指導要録を基に作成する?
まあ、そう言えないこともないが、ここで指導要録を持ち出す必要はないように思われる。
学校の先生で指導要録を書いたことがない人はいないと思うが、塾関係の皆さんのため、念のため見本を紹介しておこう。
文部科学省が示した参考様式である。
中学校生徒指導要録(参考様式)
様式1は「学籍に関する記録」というもので、これは20年保存。
様式2は「指導に関する記録」というもので、これは5年保存。
学籍に関する記録は、住所・氏名などだ。
指導に関する記録は、各教科の学習の記録(≒通知表の成績)や特別活動の記録、行動の記録、出欠の記録などだ。
3年生の担任が調査書を書くとき、1・2年の記録はこれを見れば分かるから、そういう意味では指導要録を基に作成するという表現も、まあ、誤りとは言えない。
個人的に指導要録で面倒だと思ったのは、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」だ。
クラス全員についてコメントを書かなければいけない。
「クラスではリーダー的な役割を果たした」とか、「友人から信頼されていた」とか、主に人物評みたいなものを書く。
あまり悪いことは書かないが、次学年の担任への申し送り的な面もあるから、「感情に流されやすい」とか「落ち着きがない」みたいなことを書く場合もある。(私はそういうのは書いた覚えがないが)。
指導要録を書くのは3学期が終わって、次の新年度までの間だったと思う。
春休みの仕事だったという記憶あり。
なお、内申書(調査書)には、何部に所属していたとか、どんな戦績を残したかとか、どんな委員や役員を務めたかなど客観的な事実のみを書く。
担任個人の主観に基づく所見を書くことはない。
そのような欄が無いのは、調査書の様式を見てもらえば分かる。
「その他」というのが2か所あるが、「3特別活動等の記録」の「その他」欄には部活動の記録などを書き、「5その他」には資格取得状況などを書く。
新聞記事では、「先生から『内申書に書くぞ』と言われた生徒が15.5%いた」としており、わざわざ見出しにも付けているが、一体、何をどこに書くぞと言ったのだろう。
そもそも、「授業態度が悪い」など行動に関する所見を書く欄が無いし、仮に無理やりどこかに書いたとしても中学校長がこれをチェックするだろう。調査書は校長名で出すものだ。
またさらに、ありえないことだが校長がスルーし、そのまま高校に提出されたとして、高校側にはこうした内容を評価する基準がない。よって何を書いてあっても選抜には影響しない。
日常の学習態度や取り組みが影響するとしたら、評定だろう。
定期考査は満点だが、課題や宿題を提出しないとか、授業に積極的に取り組まないといった状況であれば、5ではなく4という場合だってあるだろう。
その意味で、生徒たちが内申書を意識するというのはあるかもしれない。
興味深いのは、内申書を「入試で使わないでほしい」が27.9%に対し、「学校での日常の態度や取り組みを入試で評価してほしい」が65.8%の上っていたことだ。特に学力中間層にその傾向が強かったという。
内申書を気にしつつ授業や学校生活に取り組むのは嫌だから、いっそ内申書抜きの学力検査一発勝負にしてくれと考えているかと思いきや、内申書は見てほしい。
このあたり、子供の心理はなかなか複雑だ。
とりあえず私に出来ることは、事実に基づいた正確な情報を届けることだ。
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