学校は冬季休業(冬休み)、塾は冬期講習と、先生方の仕事や生活もイレギュラーになった。
 こういう時はブログの閲覧数はやや減少する傾向がある。
 毎日続けるが、後でまとめて見て下さいという感じ。

 本日のお題は「リスキリング」である。
 どんどん新語が生まれ、ついて行くのが大変だ。
 英語のスペルだと「Reskilling」。
 最初、リスクに関係ある言葉かと思ったが、そうではなく、間にスキルが入っているので技術や技能に関係する言葉だ。
 「RE」は、繰り返し、再び、反対などを表す接頭辞。
 であるから、「新たなスキルの再習得」といった意味合いであろう。

 以前から「リカレント(教育)」ということが言われていたが、それに近いと思われる。
 が、「リカレント」は各自が自主的に取り組むイメージが強い。また、学び直しの中にスキルも含まれるが、学ぶ内容に幅がありそうだ。
 それに対し、「リスキリング」は、どちらかと言うと企業主導のイメージが強く、目指すところや習得する内容も、いま流行りのデジタル人材育成やDX推進と深い関連がありそうだ。
 (私も覚えたての言葉なので、間違っているかもしれないが)

◆岸田首相の所信表明演説にも
 実はこの言葉、先の臨時国会における岸田文雄首相の所信表明演説の中にも登場している。

 「また、リスキリング、すなわち、成長分野に移動するための学び直しへの支援策の整備や、年功制の職能給から、日本に合った職務給への移行など、企業間、産業間での労働移動円滑化に向けた指針を、来年六月までに取りまとめます。
 特に、個人のリスキリングに対する公的支援については、人への投資策を、「五年間で一兆円」のパッケージに拡充します」(首相官邸ホームページより)。

 というわけで、「リスキリング」は単なる流行言葉ではなく国策なのである。

◆経済産業省が主導
 「リスキリング」を最初に言い出したのは、おそらく経済産業省だ。
 文部科学省は相変わらず「リカレント」を前面に打ち出している。

 DX等成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業(文部科学省)

 だが、近年の日本の教育政策は、GIGAスクールにしても部活の民間移行にしても経済産業省の政策に基づくものや、それに強く影響を受けたものが多いので、今後は「リスキリング」に置き換わって行くかもしれない。

 なお、経済産業省は「リスキリング」を、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義している。

 リスキリングについての解説は、これが分かりやすかった。
 リクルートスタッフィングの記事。

 リスキリングとは?|新たな時代を生き抜く人材戦略

 全文読むのは大変なので、冒頭の「リスキリングとは」あたりだけ読んでおくといいだろう。

◆学び続ける人になる
 こうした政策の動機となっているのは、わが国のデジタル人材の不足であろう。
 学校でのデジタル人材の育成はようやく緒に就いたばかりである。
 現在の小中高校生が社会の第一線で活躍してくれるまでに、あと10数年はかかる。
 それまで待っていられない。

 当面は、30代40代、あるいは50代の再教育でしのぐしかない。
 おそらく、そういうことなのだろう。
 もっと早くに気づけなかったのかと思うが、人のことは言えない。

 慌ててやってる感はぬぐえないが、それはさておき、社会の変化スピードがどんどん加速している現在、学校で習ったことや社会に出てから覚えた知識や技術で一生を送るのは難しい。
 絶えず知識や技術をアップデートしなければ、あっと言う間に置いて行かれ、仕事を得ることさえできなくなる。

 学び続ける人を育てる。
 これが学校の役割だ。
 昔からそうだったはずだが、これからは特にそれが求められる。

 そもそも「Skilling(スキルの習得)」が出来ていない人間を世に送り出したのでは、「Re(再び)」も糞もない。最初があって再びがあるのだ。
 その最初を担当するのが学校だ。
 ここをしっかりやっておいた人間にのみ、「Re(再び)」がある。