「秩父4高校の存続を 意見交換会が発足 個別連携協定も締結」。5月13日付埼玉新聞にこんな記事が掲載された。
 埼玉県教育委員会は2029年までに県北部と秩父地域にある高校18校のうち、2~3校の再編整備を検討しているが、これに対し、秩父地域の4校(秩父・秩父農工科学・皆野・小鹿野)を存続させようという地元の動きがあることを紹介した記事である。

 まあ無理でしょうね、4校そっくり存続というのはほぼ無理
 平成31年度入試における募集状況は次のとおり。
 〇秩父 定員240人 入学許可候補者200人 定員充足率83.3%
 〇秩父農工科学 定員280人 入学許可候補者277人 定員充足率98.9%
 〇皆野(みなの) 定員80人 入学許可候補者34人 定員充足率42.5%
 〇小鹿野(おがの)定員120人 入学許可候補者67人 定員充足率55.8%
 
 欠員補充(つまり二次募集)をしているので実際の入学者はもっと多いと思われるが、こんなものだ。
 普通科は秩父のみ。秩父農工科学は農業系、工業系、家庭系の計7学科で構成される専門高校。皆野は商業科と情報処理科だが入試では商業系という形で「くくり募集」(一括して募集)を行っている。小鹿野は総合学科の高校。

 明治40年創立の伝統校・秩父と、ほぼほぼ定員を満たしている秩父農工科学は存続させて、皆野と小鹿野を事実上の廃校として秩父農工科学への統合というのが普通に考えられる方法だ。
 県北部と秩父地域で合わせて2~3校なので、北部の妻沼や児玉白楊あたりがどうなるかにもよるが、いずれにしても4校存続はない。

 失礼な言い方だが、地元市長さんや町長さんの政治的パフォーマンスだね。地元のために、存続のために、ちゃんとやってますよというアピール。
 だってそうでしょう。今から意見交換会って何言ってるのよ。皆野や小鹿野の募集困難は今に始まったことじゃない。ずっと続いてる。
 それに、統廃合計画が発表されたのは昨年の4月か5月のことで、見た瞬間、皆野や小鹿野が統廃合のターゲットになりそうなのは誰の目にも明らか。なのにすぐ動かず、今から意見交換会って、遅すぎるでしょう

 要するに、この募集困難は広報不足とか、それぞれの学校が抱える教育上の問題点とか、そういうところにはなくて、地域の構造上の問題が大きいわけだ。つまり人口流出とか高齢化とか就業機会の少なさとか。
 だから政治や行政に関わる方々にやってもらいたいのは、地域の構造上の問題を少しでも解決することであって、それが本当の意味での学校存続支援となる。

 やれ意見交換会だ、協議会だ、連携協定だって、そんなもの糞の役にも立たんぞ。