萩生田光一文部科学大臣が、「教職課程を取って、社会に出て1年目に教壇に立つのが本当にいいのか」などと発言。まあ、インタビューで軽く感想を述べた程度なので、こっちも軽く言っておこうか。
 企業経験も役人経験もなく、法律知識もまったくない素人が立法機関たる国会の議員になれちゃうほうがよほど問題でしょう。下手したら大臣にもなれちゃうわけだし。

 私は条件付きながら、1年目からガンガン現場経験させることに賛成。その方が成長が早いと思うから。

 私は初年度から担任を持った。赴任した学校が全員が担任を持つという制度だったからだ。以前にも書いたと思うが、正副なしの「二人担任制」というやつで、二人の役割分担は相談して決めなさいというもの。
相方のベテラン先生は、「事務仕事と対保護者は私が全部やるから、あなたは出来るだけ生徒と一緒にいなさい」と言ってくれた。煩雑な事務作業から解放されて大助かり。手間のかかる子の指導は陰でしかりやってくれたし、おかげで何とか担任が務まった。

 授業の準備は大変だった。大学生の時の10倍ぐらい勉強した。学生時代いかにサボっていたかということだが、仮に一生懸命やっていたとしても、知ることと教えることはまったく別物だ。持ち時間はたしか週18時間ぐらいだったと記憶しているが、半分くらいだと、もっと十分な準備が出来ただろう。

 以上を実現するには、人員に余力がなければならない。文科大臣には財務省と闘って、教員確保のための予算をぶんどってもらおう。

 どんな形であれ1年目から教壇に立つには、学生時代からの準備が必要なわけで、教員養成のあり方を変えなくてはならない。2~3週間かせいぜい1か月程度の実習では頼りない。
 教員志望者に民間企業でのインターン実習を義務付けるのも一つの手だ。ただ、最近のインターンは就業体験よりも就活の一部となっているようなので難しいかもしれない。

 余談。
 教員免許の更新制度というのがあるが、私は40歳で辞めて以後、免許を更新していない。ところが、「旧免許状所持者で、昭和30年4月1日以前にお生まれの方は、(中略)、持っている普通免許状及び特別免許状は生涯有効となります。特に必要な手続き等もありません」(文科省)となっているため、いわば永久ライセンス所有者なのである。まあ、こんな年寄りを雇ってくれる学校があるわけないが。