授業ウォッチャー出動。今日のターゲットは県立所沢北高校・上田祥子先生(国語)だ。
 学校を知るには授業と普段から言っている私であるから、誘いがあれば学校でも塾でもどこにでも行くよ。

 私が授業参観する場合、多くはこちらから「見せて下さい」とお願いするか、または、校長先生から「素晴らしい先生がいるから是非」と誘われて見に行くわけだが、上田先生は研究授業をやる時、自身で直接案内してくる。めずらしいタイプだね。
 そこまでされては断るわけには行かない。
 上田先生の授業を見るのはこれで3回目だが、毎回挑戦的な試みをしてくれるので楽しみにしている。今回は埼玉県が実施している「未来を拓く学びプロジェクト」研究員という立場での公開授業だ。
 ちなみに「未来を拓く学びプロジェクト」というのは、東京大学 CoREF(コレフ)と埼玉県教育委員会が連携したプロジェクトで、「知識構成型ジグソー法」を用いた「協調学習」の研究授業を実施している。

 さて、今日の授業。65分があっという間に過ぎた。そうそう、この学校65分授業をやっている。最近は45分で1日7時間授業というのも流行っているが、ここは65分5時間。しかし、今日のような授業は、45分とか50分だとちょっと難しいかな。65分授業の長所が如何なく発揮されていると感じた。
 内容を一言で言えば「百人一首PR動画の発表会」。百人一首、みんな暗記したよね。と言うか暗記させられた。だから嫌いになっちゃうし時間が経つと忘れてそれまで。でも、この授業では、生徒一人一人がお気に入りの一首を選び、その㏚動画を作って歌の魅力をみんなにアピールする。
 面白動画を作るだけだったら、今どきの高校生にとってさほど難しいことではないが、ただ現代語訳をつけたって誰も振り向いてくれないから、時代背景とか、作者の人物像や登場人物の人間関係とか、結構深いところまで調べた上で、それらを独自の発想で再構成し、見て面白い動画に仕上げる。こいつは楽しいけれど楽ではない作業だ。
 
 一つ間違えると、ああ面白かったで終わってしまう危険性もあるが、そうならないのがこの学校の生徒たちのポテンシャルの高さと、上田先生の力量なんだろう。私は次々に発表される動画を見て、ずっと笑い、ずっと感心しっ放しだった。
 研究授業では、その後、参観した先生方が集まって研究協議というのをやる。本当はそこにも出て他の先生方の感想も聞いてみたかったのだが、私にも動画撮影と編集という仕事が残っていたので授業参観だけで帰って来た。
 上田先生は「訴求力」ということを強調していた。私もそういう動画を作らなければ。