年末進行、真っ最中。これは主として出版界で用いられる業界用語。年末年始は印刷工場が休みになるので、月刊誌などの編集をいつもより早めに進行しなければならない。だが、紙媒体が徐々に衰退しているので、いずれこの言葉は死語になるだろう。

 さて、この忙しい時期に何だって忘年会みたいな無駄なイベントをやるんだという話である。私は酒が嫌いだ。体に合わない。そもそも人づき合いが嫌いで「一人でいたい派」だ。 

 だが、教員時代を知る人は、ウソだろうと言う。率先して幹事やってたじゃないか。
 そうだよ。忘年会も歓送迎会も職員旅行も、これでもかと幹事をやったよ。司会もね。でも飲み会はその当時から好きじゃなかった。と言って参加しませんでは通りにくいしね。
 そこで私が考えた作戦は、飲めない自分でも楽しめる会にすること。ただ飲んで食っての宴会は飲めない人にとっては苦痛だし、退屈この上ない。しかし幹事をやれば、自分に都合よく演出し、進行できる。
 こういう、実に不純な動機で、自己中な考えで、それで幹事やってたんだよ。

 台本書くのが大変だったな。ネタ考えて、演出して、リハーサルまでやったりして。
 教員って、そんなに暇なのか。
 まあ忙しい時は死ぬほど忙しいが、期末テストが終われば、あとは成績つけるだけだし、そんなのはあっという間に終わる。授業も半日になって、消化試合的な行事が続くから、この時期なら大丈夫だ。

 あれから30年。
 最近は、「飲めないんで」、「僕はウーロン茶で」とフツーに言えるようになったので、宴会は昔ほど苦行の場ではなくなった。昭和の宴会は、先輩や上司から酒を勧められたら断れなかったからね。今なら完全パワハラ。
 二次会、三次会と無理矢理引っ張りまわされることも少なくなった。

 早くこの世から忘年会みたいなくそイベントがなくならないかと思っている私だが、それが楽しいという人だっているわけだから、誘われたらつべこべ言わずホイホイ出かけて行こう。
 そう思っているのだが、人づきあいの悪い私には、とんと声がかからない。
 というわけで年末の夜のスケジュールはスッカスカである。
 ゆっくり本でも読むか。