皆さん平均点には興味がおありのようで、ここ2週間ほどでは「埼玉県公立高校入試、過去データから平均点を予想してみる」という記事がもっとも読まれている。
この記事は学力検査実施前に書いたものである。
そこでも書いたことだが、試験実施後の、つまり実際の出題を見た上での平均点予想は、塾や学校の先生方によるものが、もっとも正確である。
ここは生徒が迷うところ、ここは勘違いしやすいところ、そういったことを一番知っているのが日々生徒を指導している先生方だからである。私にはその知識も情報もない。
ただ、出題者側が考えそうなことなら、ある程度分かる。私に特別な能力があるからというのではなく、普通に考えれば分かる。
たとえば数学(学校選択ではなく学力検査の方)。
過去3年連続して平均点が低下している唯一の教科である。ここは普通に考えて上昇に転じたいところである。
そもそも数学の問題を2種類にしたのには、「取り組み易い問題」を増やすという目的があったわけだが、その後の平均点の推移を見れば、その目的が達せられているとは言い難い。
細かい経緯は省くが、学校選択問題導入前の平成28年度まで、数学の平均点は徐々に上がり続け、28年度には初めて50点に乗せた。
しかし、29年度に学校選択問題が導入された結果、それまで平均点を引き上げていた上位層がごっそり抜けたこともあり、学力検査問題の平均点は再び下降に転じた。
こうした点を踏まえれば、出題者側が、難易度を下げ平均点の上昇を図ろうとするのは当然である。
これが過去データに基づく予想だ。すなわち、平均点は上がるだろう。また、上がるように問題を変えてくるだろう。
昨年まで3年間(29~31年度)は、学校選択問題と学力検査問題とに共通問題があった。31年度の場合、点数にして52点分が共通問題だった。この中には、学校選択問題受検者でさえ通過率が10%台という難問も含まれていた。
したがって、共通問題の中から、特に関数や図形の性質から線分の長さや面積を求めるような問題を省けば、難易度が下がり平均点の上昇が見込めるわけである。
さて。
ここからは、実際の問題を見ての話であるが、今回はかなり大胆に共通問題が削られていた。
一見して同じように見えるが、与えられた条件(要するにヒント)が一つ多かったり、求める解答が一つ手前までだったりという問題が目立った。これは平均点引き上げるに寄与するだろう。
共通問題の削減により余った点数は、計算問題を含む基本問題中心の大問1に与えられ、その結果、大問1の配点は従来の50点から65点に増加した。これも引き上げ効果があるだろう。
私は事前に、「上がっても45点前後までだろう」と書いたが、この数字はもう少し引き上げた方が良さそうだ。50点に近い数字、場合によってはそれを若干上回る可能性もある。ただ、不安材料は、現状大問1の計算問題でさえ半分程度しか得点できない生徒が15~20%いることだ。これらの生徒には引き上げ効果は及ばない。
冒頭述べたように、実際に生徒を指導しているわけではないので、私が言えるのはここまでだ。これ以上の考察は専門家である塾の先生方を頼るしかない。
コメントを残す