これから流行りそうな言葉、「不要不急」。いや、もう流行っているか。
 明日から3連休。春のお彼岸だしご先祖の墓参りでもするか。あるいは、ちょっと早いがお花見と洒落こむかといろいろ計画しているところへ、「不要不急の外出は自粛してください」。

 不要不急は大型台風が来そうな時などにも使われるが、大変使い勝手の良い言葉だ。
 「大した意味のない外出や、それほど重要ではない外出はやめてください」という意味なのだが、その通り言ったのでは角が立つ。
 おそらく、「他人に言われたくない」、「重要か急ぎかは自分で決める」と反発を食らうだろう。何となく自分の行動の価値まで否定されているような気分になるからだ。
 私たちの日々の行動には、他人から見たらほとんど無意味なものでも、自分の中ではちゃんと理屈が通っているのだから、それを否定されたら面白いわけがない。

 そこで、不要不急の登場だ。この四字熟語?はなかなか良く出来ていて、「あっ、そうか。急ぎなら別に構わないのね」、「重要なら別にいいのね」という自分流解釈の余地を残しながら、それでいて、「やるな!」、「止めろ!」の圧力も失っていない。

 不要不急の反対語をあえて作れば、緊急重要とでもなるんだろうが、日常生活の中でそうあるものではない。だいいち毎日が緊急重要であったら身も心も持たんよ。
 これはあっち、あれはこっちと一つ一つの行動を不要不急と緊急重要のどちらかに振り分けていったら、少なくとも私の場合、あっという間に不要不急のボックスの方が満杯になるだろう。

 では、不要不急だからと何もしないでいたらどうなるか。つまりは、普段とは異なる行動をするということだが、もしかすると、これが行く行く緊急重要な事態を招いてしまうかもしれない。

 そこで結論。
 あえて特別な行動は取らない。普段やらないことをこの際やってやろうとは考えない。
 いつも通りでいい。
 出不精で、非活動的で、無趣味で、人づきあいが悪い。
 どうだ。文句あるか。