コロナ情報の中に埋没してしまいそうだが、令和2年度埼玉県公立高校入試の平均点が発表されたので確認しておこう。
 では、さっそく各教科の平均点(全日制。カッコ内は前年)を見てみよう。

▽国語 57.2点(58.3点) 前年比マイナス1.1点
▽社会 55.4点(60.3点) 前年比マイナス4.9点
▽数学 67.9点(42.3点) 前年比 プラス25.6点
▽理科 51.1点(44.5点) 前年比 プラス6.6点
▽英語 52.2点(47.7点) 前年比 プラス4.4点
▼数学(学校選択) 55.2点(53.5点) 前年比 プラス1.7点
▼英語(学校選択) 58.9点(64.3点) 前年比マイナス5.4点

◆過去最高、異常に高かった数学平均点
 塾の先生方は、学力検査当日(2月28日)、問題を見た瞬間、数学が非常に易しくなったという印象を持たれただろう。そして、生徒たちの自己採点やその後の開示点を見るに及んで、平均点の大幅上昇を確信されたであろう。その通りの結果だった。

 数学の67.9点が、いかに高い点数だったかは、過去の数字を振り返ってみれば分かる。
 ここでは、入試が現在のような1回入試に変わった平成24年度から、今回の令和2年度入試まで9回分を見て行くことにする。

 これまで、数学でもっとも高かったのは、平成28年度の51.1点である。学校選択では昨年(平成31年度)の53.5点があるが、学力検査の方では50点を超えたのはこの1回だけ。というわけで過去最高、それも断トツ、ぶっちぎりの最高記録となった。
 他教科を見ても、この9年間で65点以上というのは、国語(25年度65.6点)、英語(29年度学校選択71.9点)の2例のみである。60点以上に拡げてみても、国語(26年度64.0点)、社会(28年度63.7点、29年度60.6点、31年度60.3点)、理科(25年度63.4点)、英語(31年度学校選択64.3点)の6例が加わるだけだ。
 以上をランキング形式でまとめてみると次のとおり。

◆過去9年間、高平均点ランキング
1 71.9点 英語(29年度学校選択)
2 67.9点 数学(令和2年度)
3 65.6点 国語(25年度)
4 64.3点 英語(31年度学校選択)
5 64.0点 国語(26年度)
6 63.7点 社会(28年度)
7 63.4点 理科(25年度)
8 60.6点 社会(29年度)
9 60.3点 社会(31年度)

◆今年は失敗作なので、来年は下げる方向へ
 今まで数学の平均点は低すぎた。数字的に見て、「取り組み易い問題を増やす」という29年度以来の目標が達成できていなかったのは明らかだ。
 そこで、問題の易化が図られた。それはいい。

 それにしても、せいぜい50点台後半までだろう。狙いはそこだったはずだ。
 もしこれが実現できていれば、今年の平均点は高い教科から低い教科までが7~8点の間に収まるという非常にきれいな形になったわけだが、残念、数学がしくじってしまった。

 が、この結果は責められない。
 数学だけが極端に低いという長く放置された課題にようやく切り込んだことは、むしろ高く評価されるべきだろう。
 平均点が50点から60点までに収まるような問題作り。今年のデータ分析を元に、そこを目指して修正が図られるだろう。

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 令和2年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施状況