学校の対応が遅いから、この際、塾に入ろうか。オンラインで授業やってるみたいだし。これがコロナ入塾。対して、うちの塾、何も動いてくれない。よそに変えようか。これがコロナ退塾。
で、コロナ退塾にはもう一つあって、オンラインで授業は継続しているのだが、その様子を見た家族、特にお父さんが、「なんだよ。こんな低レベルの授業に金払ってんのか。やめろ、やめろ。もっとましな塾に変えろ」というやつ。
学校の授業だって、参観の機会は年に数回。それだって、世のお父さん、ほとんど見に行かない。まして塾でどんな授業が行われているかなど、今まで見たことがない。ところが会社が休みでテレワークしようと思ったら、子供がオンライン授業やるからパソコン使わせてと言う。そうか、それじゃ仕方ないと思いつつ、ちょいと覗いてみたら、こいつはひどい。大学生らしき兄ちゃん姉ちゃんが、いくらオンラインに不慣れとはいえ、とてもじゃないが金を取れるようなレベルじゃないクソ授業をやっている。
この話、実話をもとにしているがフィクションである。ちょっと脚色し過ぎだが(ちょっと盛り過ぎだが)、これに近いことが起こっている。
◆教室が家庭に移動、毎日が授業参観日
オンライン授業は、一番大事だが一番見えにくかった部分を白日の下に晒す結果となった。偶然起きた公開授業、とまでは行かなくても、期せずして授業参観日になっている可能性は大いにある。
セキュリティ対策すれば、外部の見ず知らずの人にまで見られることはないが、教室が家庭内に移動しているようなものであるから、家族や近しい人々はその気になればいつでも見られる。
学校の先生だったら、授業参観以外にも研究授業などがあって、他人に授業を見せる機会はそれなりにあるものだが、塾の先生はこうした機会が圧倒的に少ない。
服装、髪型、言葉遣い。授業の中身だけでなく、これらも親から見て、授業料を払うだけの価値を持ったものになっているか。
個人塾の場合、塾長先生自身は問題なくても、雇用している先生が学生である場合は、親(=大人)の立場から見てとき不信感や不快感を持たれるようなものになっていないかというチェックも必要だろう。
◆つまらん授業でも今はオンラインだけで評価される
先生方にとって初めてのオンライン授業は発見の連続だと思われる。大変だけどやりがいはあるのではないか。
物珍しさも手伝って子供たちも反応がいい。しかし、言っておくが今だけだ。そのうち飽きてくる。理解力の差や意欲の差が現れるのは教室での対面授業と同じことだ。
今はオンライン授業の初期段階なので、授業スキルよりも機械の操作をはじめとするリテラシーの差が大きい。だから、前から慣れている人とすぐ慣れた人の勝ち。
しかし、スマホと同じように皆が使うようになれば、その差は一気に縮まる。で、結局は授業スキルの優劣に帰結する。先生方が鍛えるべきは、いつの時代もそこだ。
学校が足踏みしているだけに塾への期待が大きいわけだが、その注目度の分だけ、ふだんより厳しい目にさらされる。
さあ、これを試練と受け止め、どう対応するかだ。
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