フェードアウト(fadeout)。わが社は映像編集関係の仕事もしているのだが、そちらの用語で「映像や音が徐々に消えること」をフェードアウトと言う。この言葉、今の自分にピッタリだと思う。
 新型コロナの影響で仕事スタイルが激変した。早い話が暇になったということなんだが、そういう生活が長く続くと、もういっそこのままでいいかなと思ってしまう。
 ある日突然に、というわけにはいかないから、徐々に消えて行こう。そんな心境だ。

 私が急に「やーめた」と言い出すと困る人がいくらかはいる。
 だから急にはやめない。徐々に、だ。

 が、ホントのことを言うと、よほど特殊な仕事でない限り、すぐに穴は埋まるのだ。
 自分がやめたら会社や学校が困るだろうな、などと思っている諸君。思い上がっちゃいけないよ。そんなこと絶対にないから。
 後釜はちゃんと生まれるんだよ。
 困るのは数日か、数週間、そんなものだ。

 私が昔勤めていた会社では、社員が辞めると言ったら、その日のうちに私物だけ持ち帰らせてそれっきりだった。仕事の引継ぎはいらん。机の中もそのままでいい。
 本人は、急にやめては同僚や取引先に迷惑だろうからと、月末までとか給料日までとか気を遣うが、給料はひと月分払うから明日から来なくていい。
 いやいや、いくらなんでもそれは困るでしょう。
 ところが。
 自分が後継に指名されてみると、これが全然困らない。まあ全然と言うのは誇張が過ぎるかもしれないが、まず困らない。
 ね。だから世の中の仕事なんてものは、こんなものなんだよ。

 転職願望や独立願望のある皆さん。
 会社も学校も100%困りません。困ると思っているのは自分を過大評価しているあなただけです。
 辞められては困ると部下や同僚や上司が言うのはただの社交辞令か、または勘違いに過ぎません。
 困るとしたら、家族や明日からのあなただけです。

 年をとると、目は見えなくなるが、反対に世の中がよく見えてきたりする。
 だから最初に、急に辞めると迷惑をかけるから徐々にと言ったが、それは相手のためではなく実は自分のためだ。

 私の父は仕事を辞めたら途端に認知症になった。一気に来た。
 そういうのを見ているから、徐々に引いて行って、徐々にボケようと思っている

 例年ならなんだかんだで学校訪問の機会が多かった4月~6月だが、今年はほとんどない。
 時間が余っているのでAmazonプライムで映画を大量に見たよ。アニメも。
 仕事には役に立たんと思うが、中学生相手の文章を書いているので、いつか受け狙いで「受験勉強に『全集中!』」とか書いてやろうかと思っている。

 最後に宣伝を一つ。
 首都圏の全公立中学校に配布している「よみうり進学メディア」で、人生相談、じゃなかった受験生・保護者のお悩みに答えるコーナーを執筆しているので、ご笑覧いただきたい。
 こんなんでギャラもらってんのか、自分に書かせろ、という方がいたら是非名乗り出ていただきたい。
 手の早いライター募集中(手の早いというのは業界言葉で書くのが早いってことだからね)。
 ↓
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