出題範囲縮小について、本日は理科編。
 まず、過去7年間の各分野別の出題単元をまとめたのが下の表だ。黄色のアミカケは、2021年度公立入試で出題範囲から除外された単元。 

 例年の理科の問題構成は次のとおり。
 大問1 全分野からの小問集合
 大問2 地学
 大問3 生物
 大問4 化学
 大問5 物理
 中学校には「物・化・生・地」の分けはないが、こうした方が分かりやすい。
 
 出題から除外されたのは、第1分野では「科学技術と人間」だが、これまで出題実績がない。よって、大問4、大問5については実質的には除外範囲はなく、従来通り。
 第2部分野では「地球と宇宙」、「自然と人間」だが、これらは過去に出題実績がある。

◆来年度、大問2地学分野は「大地の成り立ちと変化」からの出題か
 上の表を見ていただくと、大問2地学分野では、「大地の成り立ちと変化」、「地球と宇宙」、「気象とその変化」の3つの単元から、ほぼ周期的に(順繰りに)出題されていることが分かる。
 順番からすると来年度は「地球と宇宙」の可能性が高かったわけだが、これが出題範囲から除外された。となれば、2年連続「気象の変化」からは考えにくいため、「大地の成り立ちとその変化」からの出題が濃厚となる。さらに言えば、2014年は地層、2017年は地震、2019年は火山活動からの出題となっていることから、来年度は順番からすれば地層から出題される可能性が高いことが分かる。

◆大問3生物分野は「動物の生活と生物の変遷」が最有力
 大問3生物分野は、4つの単元から周期的に出題されている。来年度は1年おいて「自然と人間」から出題の可能性もあったが、これが除外された。残る3単元のうち、2年連続は無しと見て「植物の生活と種類」をはずせば、「動物の生活と生物の変遷」か「生命の連続性」からの出題が有力となる。
 除外された単元が、過去にも繰り返し出されていた単元だったので、大問2、大問3に関しては出題単元が予想しやすくはなった。ただし、基礎知識を問う大問1の小問の中では、除外された単元以外のすべての単元から出題されるので、幅広くやっておかなければならないということだ。

◆過去問題集は引き続き最強だ
 今日の記事は、公立過去問題集を参考にしながら書いている。
 
 出題傾向(出題範囲)が変わったら、過去問題集は役に立たないのではないかと考えている受験生・保護者がいるらしい。
 そんなことはない。
 というのは、塾の先生はみんな分かっていることだが、かれらは高校入試初体験だから、当たり前のことを丁寧に説明してやらなくてはならない。
 
 過去問題集を解き、点数を出して自分の実力を確認する。
 そういう使い方をするなら、役に立たないとも言えるが、今日ここに書いたようなことは過去問題集を見たからこそ分かるのだ。
 この内容で990円(税込み)はお値段以上。