9月27日(日)に行われた「オンライン彩の国進学フェア」。私が担当した「埼玉県高校入試ワンポイント解説」の動画が、主催者である「よみうり進学メディア」(読売エージェンシー)のサイトにアップされているので紹介しておこう。
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 オンライン彩の国進学フェア「埼玉県高校入試ワンポイント解説」
 年を取ったので、どうも滑舌がよろしくない。
 そろそろ現役引退を考える時か。
 
 話は変わって、最近の学校取材のこと。
 「よみうり進学メディア」11月号では「これが高校の授業だ」という特集をしている。
 取材校は公私のバランス、地域のバランスを考慮している。
 今回は、昌平(東・私)、埼玉平成(西・私)、県立大宮光陵(南・公)、県立深谷第一(北・公)の4校。
 まあ、いいバランスだ。

 今日は県立深谷第一に行ったが、浦和から深谷まで高崎線で1時間。
 浦和から東京方面に1時間電車に乗ると横浜まで行ける。
 県内なのに他県よりも遠い深谷・本庄。
 だが、これを億劫だと思うようになったらこの仕事は終わりだ。
 
 学校までは駅から徒歩25分。
 天気も良かったし迷わず徒歩を選択。
 生徒がどんな経路で学校に通っているかを知るのも取材のうちだ。
 私はこれでも市民ランナーの端くれなので30分程度なら楽勝の徒歩圏内。
 だが、これを辛いと思うようになったらこの仕事は終わりだ。

 授業は最初から最後まですべて見る。
 50分が一つの作品だ。
 間のつまみ食いで、その授業についてあれこれ言うことはできない。

 冒頭、一見他愛のない話をしているようで、実はさりげなく生徒全員の様子を細かく観察している。
 そして、適当に生徒とやり取りしながら自然に授業の世界に引き込んで行く。
 この最初の5分ぐらいに先生の個性や力量が凝縮されているので、ここを見逃す手はない。

 今日の深谷第一の授業は3時間目。2時間目が体育だった。
 体育の後の授業はやりにくい。
 着替えで始まりがやや遅れることが多い。
 今の時期は持久走だったりして疲れている。

 今日も最初は少しザワついている感じだったが、大声を張り上げるわけでもなく、穏やかな表情と言葉で2,3分もかからずに生徒を落ち着かせた。
 教員4年目なのになかなかやるじゃないか。

 もっとも、取材対象には各校ともエース級ないしは若手有望株を選んでくるので、私がド下手な授業を見せられることはない。
 みんな「金を取れる授業」ができる先生たちだ。

 その上で言うが、先生たちは皆、言葉遣いが丁寧だ。
 これには感心させられる。
 私の現役教員時代は、セクハラもパワハラも、それ自体言葉として存在しなかったから言いたい放題だ。
 今じゃなくて良かった。

 生徒の意見を引き出すのも、上手い。
 発言に対するフォローの仕方にも工夫がある。
 かれら自身がコミュニケーションということを大切にする教育の中で育ってきたからだろう。
 私には真似できないところだ。

 私は授業でたった一つのエピソードを挿入するため一冊の本を読まなければならなかった。
 Aという論を紹介するために一冊、反対のBを紹介するためにまた一冊と、膨大な知識を吸収しなければならなかった。
 受験勉強なんて先生の勉強に比べりゃ楽なもんだと思った。

 準備に時間をかければその分だけ良い授業が出来るかというと、残念だがそうは行かない。
 時間をかけてもグダグダの授業になってしまうことはある。
 ただ、準備に時間をかけなくて良い授業を出来ることはあり得ないからひたすら勉強を続ける。

 先生というのは、毎年同じことを教えるんだから楽でいいな。
 って、冗談じゃない。
 二度同じ授業をしたことなんてないよ。
 中にはそういうバカもいるかもしれない。いや、いるんだが、少数だ。

 先生たちの舞台裏での努力に思いをはせながら、50分の授業を楽しませてもらう。
 その気持ちが失せたらこの仕事は終わりだ。

読売中高生新聞