昨日、テレビ番組の収録でサイエイスクールの先生と一緒だった。最近の様子を聞いたところ、塾生の勉強の進み具合は順調だということだ。
 範囲も縮小されたことだし、その分出題該当範囲の問題演習を例年より増やせる、とも。
 言われてみればたしかに。

 そう言えば、5月頃だったか。
 個人塾の塾長から、ふだんなら夏休みにやっている内容を今やっているという話を聞いた。
 完全な通塾型はできなかったが、中学校が休みで部活もないという状況の中で塾生はこの時期例年以上の勉強量をこなしたというのだ。

◆たくさんやっている子が例年より多い 
 臨時休校が長期化し、中学校の授業がないことばかりがクローズアップされた。
 イコール勉強の遅れ。
 とばかり考えていたが、学校がないために極端に意欲が低下してしまった子がいる一方、ここぞとばかり勉強に励んだ子もいたわけだ。

 臨時休校が始まった3月から、分散登校が始まった6月まで、あるいはほぼ平常運転に復帰した7月までの4~5か月。
 自ら目標や課題を見つけ勉強出来るタイプの子と、指示がなければ何も手につかない子との差は、例年以上に大きいと考えられる。

 学校の授業がない。部活がない。行事がない。
 その分自由に使える時間が激増した。
 いつものように学校や部活があれば、家庭学習に当てられる時間の個人差には限度がある。
 しかし今年は、果てしなく差がついた。
 これが、かつてない「格差入試」になるだろうという予想の第一の根拠だ。

◆地域ごとの差が大きい
 先日、「埼玉県小中学校授業数、地域差大きく不足の一方、超過の学校も」という記事を書いた。
 2週間ほど授業時数が不足している学校がある一方、不足分をカバーしようと新たに授業時数を生み出したところ、失われた分以上に確保できた学校もあるということについて書いたものだ。
 夏休み期間は市町村ごとに異なり、多くは2~3週間だったが、中には10日ほどだった町もある。
 行事を精選するなどして、どれだけの授業数を確保するかは各中学校で異なる。

 最終的にはどの地域、どの中学校でも法定時数は確保することになるだろうが、高校入試を考えた場合は3月の授業はどうでもよく、年内にどこまで回復できるかが重要だ。
 授業時数や進度に関して、地域や中学校によって対応が異なる。
 これが、かつてない「格差入試」になるだろうという予想の第二の根拠だ。

 時間があるのにやらなかったのは本人が悪い。
 それはそうだが、それを突き詰めて行くと、じゃあ学校の役割は何なのだいう話にもなってくる。
 格差が生じたのは、本人の努力や自覚の差という面も否定できないが、社会全体や学校の責任も大きい。
 今のところはまだ「格差入試」になる可能性ということであって、実際にそうなるかどうかは分からない。

 高校入学後のことも考えれば、格差は小さいほうがいい。
 中学校及び塾の先生方、よろしくお願いします。