埼玉県高校入試、第1回進路希望状況調査(令和2年10月1日現在)の結果が予想より早く、10月29日発表された。
 このブログでは、10月5日に「埼玉県高校入試、進路希望調査(10月1日現在)の見方・予習編」という記事を書いているので、できるだけそれに沿った形で検証してみよう。

 元データの在りかはコチラ。
 「令和3年3月中学校等卒業予定者の進路希望状況調査(令和2年10月1日現在)」
 上記にアプローチすると、進路希望調査の概況が見られるので、これにより全体の状況を把握し、その後各校の倍率が見たい場合は統計表を見ればいいだろう。統計表(エクセルデータ)はダウンロードできる。

 では、本論に入ろう。
1 中学校等卒業予定者数
 来年3月中学校等卒業予定者数は6万1740人である。
 前年同期より1353人少ない。

2 高等学校等の進学希望者の割合
 高等学校等進学希望者の割合は96.9%で、前年と同率である。
 また、進学希望校未定者を合わせた高等学校等進学希望者総数の割合は99.1%で、過去最高だった前年同期より0.1ポイント低下した。

 進学希望校未定者は1358人で前年同期より60人減少した。割合としては2.2%で前年同期と同率だった。
 コロナの影響で説明会等が少なく、未定者の増加が心配されたが大きく増えることはなかった。
 
3 全日制希望者の割合
 全日制希望者の割合は91.1%で、前年同期より0.7ポイント低下した。
 それに対し、通信制高校希望者の割合は2.6%で、前年同期より0.5ポイント上昇した。定時制希望者の割合は前年同期と同率だった。
 全日制希望者が減り、通信制希望者が増えるというのが最近のトレンドだ。

4 県外希望者の割合
 全日制希望者のうち県内高校への進学希望者の割合は93.3%で、前年同期より0.2ポイント低下した。一方、県外高校への希望者の割合は6.7%で、前年同期より0.2ポイント上昇した。

 県外希望者が増加しているが、その多くは都内私立と考えられる。大学入試改革の影響で都内の大学附属校人気が高まっているのも一因か。
      
5 県内私立希望者の割合
 全日制希望者のうち県内公立への進学希望者の割合は76.4%で、前年同期より1.2ポイント低下した。一方、県内私立への進学希望者は16.7%で、前年同期より1.2ポイント上昇した。

6 倍率上位校
 普通科の全県倍率は1.29倍で、前年同期(1.31)より低下した。

 ◆普通科倍率上位校 カッコ内は前年同期
  市立川越 4.34倍(3.30)
  川口市立 3.06倍(2.58)募集人員40人減
  市立浦和 2.73倍(2.56)
  川越南  2.45倍(2.34)
  浦和西  2.34倍(2.41)
  上尾   2.26倍(2.35)
  越ヶ谷  2.23倍(1.97)
  大宮   2.19倍(1.92)
  越谷南  2.04倍(1.86)
  南稜   1.97倍(1.59)
  大宮北  1.97倍(1.90)
  熊谷西  1.96倍(1.77)募集人員40人減
  蕨    1.94倍(1.99)
  所沢北  1.84倍(1.73)
  鳩ヶ谷  1.73倍(2.06)
  越谷北  1.63倍(1.38)
  和光国際 1.58倍(1.73)
  入間向陽 1.56倍(1.41)
  所沢西  1.55倍(1.50)
  浦和南  1.54倍(1.90)
  所沢   1.50倍(1.74)
  以上、1.5倍以上21校

 本ブログでは2倍超えを10校と予想したが、やはりそのうち8校が2倍を超えた。
 2倍超えと予想したうち大宮北と蕨は僅かに届かなかった。予想になかったのは越谷南。
 例年通り顔ぶれだが、越谷北の急上昇が目を引く。

 ◆その他主な普通科の倍率
 【東部】
  春日部  0.96倍(1.11)
  不動岡  1.38倍(1.50)
 【西部】
  川越   1.38倍(1.54)
  川越女子 1.39倍(1.44)
 【南部】
  浦和   1.28倍(1.62)
  浦和一女 1.30倍(1.30)
  川口北  1.02倍(1.41)
 【北部】 
  熊谷   0.87倍(1.13)
  熊谷女子 1.05倍(1.14)

 いわゆるナンバースクールが軒並み低倍率となっているのが今回調査の特徴だ。
 特に浦和の1.28倍は異例の低倍率だ。本番に向けて、これ以上下がることはないと思われるが、調査ごとの変動幅が小さい学校だから急激な上昇はないだろう。
 浦和一女、不動岡はほぼ想定内。
 川越、川越女子の1.3倍台もこの時期の倍率としては例年になく低い。普通なら1.5倍前後が出ていいはずだ。
 春日部のこの時期の倍率は例年高くないが、それにしても1倍を切るというのは想定外だ。
 熊谷、熊谷女子もここ数年低倍率が続いているが、熊谷の0.87倍は予想以上に低い。
 
 倍率上位校は例年と変わらない。
 しかし、地域トップ校が軒並み低倍率というところをみると、今のところ、今年の受験生は超安全志向なのではないかと思われる。
 コロナの影響が出ていると考えられる。
 川口北の低倍率は、地域トップ校の場合とは異なり、川口市立に人気を奪われている結果だろう。蕨、越谷北、所沢北、熊谷西、和光国際といった地域2~3番手校はそれなりに倍率が出ているのだから、川口北の場合コロナは関係ない。

 以上、速報レポートだ。
 先生方におかれては是非、県発表の元データを参照し、それぞれ分析していただきたい。