引き続き第1回進路希望調査の話題である。10月30日付新聞各紙の見出しをみてみよう。
 埼玉新聞「私立高希望 過去最高 公立高は7割下回る」
 読売新聞(地域)「全日制競争率1.19倍 市立川越4.34倍が最高
 朝日新聞(地域)「進学希望者は99.1% 全日制公立1.19倍」
 いつも言うように、見出しに最上級を使うのは新聞のお約束である。

 読売、朝日がありきたりの見出しであるのに対し、地元紙・埼玉新聞は一歩踏み込み、私立希望が過去最高であったことと、それに連動し公立希望が7割を切ったことを伝えている。
 以下、埼玉新聞から引用
 ~、5万9798人が志望を決めており、そのうち全日制私立高は過去最高となる9384人(413人増)で15.2%(1ポイント増)の一方、県内全日制公立高は4万2953人(1992人減)となり、全体に占める割合は69.6%で7割を下回った。
 以上、引用おわり。
 ここ、結構大事なところ。この時点で公立が7割を下回ったのは、おそらく初めてだろう。第2回調査から実際の出願にかけて、さらに公立志望が減るのが毎年の傾向なので67%前後まで下がる可能性がある。
 この点に関する県教委の見解を埼玉新聞では次のように伝えている。
 「県教育政策課は、『奨学金や助成制度が充実して私立に進学しやすくなったが、実際の私立進学者は2年連続で減っている』と今後の動向を注視する姿勢を示し・・・」(埼玉新聞より)

 「私立に進学しやすくなった」というのは、その通りだろう。
 授業料の完全なる無償化までは至っていないが、保護者負担の軽減が図られているのは事実だ。
 だが、「実際の私立進学者は2年連続で減っている」というのはどうだろう。
 今の段階では私立志望が多くても、最終的には私立に入学する生徒は少ないという意味なのか。
 だとしたら、相対的に公立に入学する生徒が増えなくてはならないが、実際の進学者は公立も減っている。

 ◆コロナの影響は表れている
 新型コロナの影響に関する県教委の見解を埼玉新聞および読売新聞では次のように伝えている。
 「新型コロナウィルスの影響については『明確な傾向としては数字に表れていないようだ』とした」(埼玉新聞より)
 「同局教育政策課の担当者は、『これまでと大きな傾向は変わらず、新型コロナウィルスの明らかな影響はみられない』と話している」(読売新聞より)

 いやいや、そんなことないでしょう。
 あちらこちらに例年と違う数字が表れているでしょう。

 学校があれだけ長く休みになって、授業がなくて、それをばん回するために夏休み返上して。
 その一方で、フェアや説明会も少なくて、模試も受けられなくて。
 という状況の中で、100%いつもと同じような学校選びが出来ているはずがない。

 影響はみられないというのは立場上の発言だろう。
 影響が随所にみられますなどと言おうものなら、「どうしてくれるんだ」、「何か策を講じろ」と言われるに決まってる。
 と言って、影響は出ているのだから、なしと断言はできない。

 皆さん。発言をもう一度よく読んでみよう。
 「明確な傾向としては数字に表れていないようだ」
 明確とまでは言えないが、ある程度表れているということだよ。

 「大きな傾向は変わらず、明らかな影響はみられない」
 大きくは変わっていないが、小さく、もしかしたら中くらいには変わっている。
 明らかな影響ではないが、見えにくい影響はあるってことだ。

 まあ公務員の皆さんは立場上、コロナの影響があるとは言えないので、立場も何にもない私が言っておこう。
 今年の受験生は、コロナの影響をたくさん受けている。
 彼らには何も責任がないのに、やりたいことができず、やらなくていいことをやらされてる。
 こういう視点に立たないと、受験生や保護者の気持ちに寄り添った指導や助言ができないと思うよ。

 影響はある。
 あるけど、それを最小限にとどめよう。頑張って乗り越えよう。
 そういうことでしょう。

 平気平気、いつもと同じ。影響なんて何もない。
 最終的にそういう気持ちに持って行ってやるのはいいかもしれないが、今言う話じゃない。