本日のお題は、出願(受験)資格や推薦条件に欠席日数に関する条件があるのはどうなのか、という話である。
 
 公立入試では調査書の得点化の中で、「特に良好な者に得点を与える」としている学校はあるが、欠席日数が多いというだけで出願できなかったり、不合格になったりすることはない。
 だから、読者の中に公立高校の先生がおられたら、募集要項の中に10日以内とか20日以内といった条件が記載されている学校があることに、たぶん驚かれるだろう。

◆欠席を問題にすることは時代に合っているか
 私立がどんな入試をやろうと自由である。
 公平性が保たれていればいい。
 後は受験生側が判断すれば済む話だ。

 で、その上で言えば、出願(受験)資格に堂々と欠席日数に関する条件が記載されているのは、時代に合っていないのではないかと思うのである。
 推薦基準ならまだ分かる。

 私がかつて教員だった時代には「登校拒否」という言い方があった。
 「不登校」という言い方があったのか、なかったのかは記憶が定かではないが、少なくとも教員間では使われなかった。
 すべて「登校拒否」であった。

 文部科学省の調査では「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために、年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的理由による者を除いたもの」と定義している。
 「登校拒否」は登校できるのに自らの意志で登校しないというニュアンスだが、「不登校」は「したくてもできない」状態ということらしい。

 私がここで言いたいのは、学校を欠席するということに対し、世の中が寛容になったのではないかということだ。
 本人にも問題があるかもしれないが、親に問題があるかもしれない。もしかしたら学校や先生が原因になっているかもしれない。
 だから、不登校や不登校気味であることは、必ずしも本人が悪いわけではない。
 そう考える人が増えたのが今の時代ではないかと思うのである。

 教員時代の私は生徒に対し「死んでも休むな」と言ってきた。
 が、今だったらそんなことは言わない。
 それは昭和の生徒指導だ。
 今の時代、皆勤賞という制度をなくせと言う人もいるくらいだ。
 (私はあっていいと思うが)

 理屈を言えば、中学校推薦など推薦条件であるから、出願(受験)自体を拒否しているわけではないということなのだが、「時代を支配する雰囲気」というものがある。
 学校側からすれば、入学してからも大変だろう、ついていけないだろうという思いやりなのかもしれない。
 だが、成績基準(評定に1や2が無い)については、この理屈は通っても、欠席日数に関しては通りづらいのではないか。
 欠席日数に関して、実際の運用面においてはかなりの柔軟性を持って行われていることは承知しているが、誤解される危険性もある。

 最初に書いたように、私立がどんな入試をやろうと自由なわけだが、次期シーズンに向けて一度検討されてはいかがかと思う。

 一応、埼玉県内私立の現状を調べてみた。
 あくまでもホームページ上における募集要項の範囲内である。
 全体の傾向を感じ取ってもらえればいい。 

◆出願資格(推薦基準)に欠席に関する条件がある学校
秋草学園(3年間30日以内)
浦和学院(3年間20日以内)
浦和ルーテル学院(3年間20日以内)
春日部共栄(3年次15日以内)
狭山ヶ丘(3年間15日以内)
昌平(3年間30日以内)
城北埼玉(3年次10日以内)
東京農大三(出席状況良好)
獨協埼玉(3年次10日以内)
東野(3年次10日以内)
星野(1・2年合計20日以内)
細田学園(3年間20日以内)
山村学園(出席状況良好)
山村国際(3年20日以内)

慶応志木・推薦(3年間30日以内)
立教新座・推薦(3年間21日以内)
早大本庄・α選抜(30日以内)

◆出願資格(推薦基準)に欠席に関する条件がないと思われる学校
浦和麗明
叡明
大妻嵐山
大宮開成
開智
開智未来
川越東
国際学院
埼玉栄
埼玉平成
栄北
栄東
自由の森学園
秀明
秀明英光
淑徳与野
城西川越
正智深谷
西武文理
西武台
聖望学園
東京成徳大深谷
東邦音大東邦第二
花咲徳栄
武南
本庄第一
本庄東
武蔵越生
武蔵野音大附属

慶応志木・一般
立教新座・一般
早大本庄・一般

 なお本日、浦和実業学園高校のサイトには到達できなかった。