明日24日は埼玉県公立入試学力検査(25日に実技・面接)。
 お隣千葉県立も明日から。
 すでに神奈川県、東京都が終わっている(合格発表を残しているが)。
 これは全国でもっとも早い日程だ。
 多くの道府県は、来週または再来週が試験である。

 関東では神奈川、埼玉、千葉、茨城が1回入試方式だが、全国的には推薦・一般、前期・後期など2回に分けて実施する地域が多い。
 埼玉もかつては推薦・一般方式、前期・後期方式が行われていたが、10年ほど前に1回入試方式に移行した。

 生徒の個性、多様性に重きをおけば、異なる選抜方式で複数回の入試を行う方法が適している。
 ただ、その分、入試シーズンも長くなる。
 仮に埼玉県で2回方式を復活させたとしたら、1月末から2月初めに推薦ないしは前期の試験を実施することになる。
 現在は、1月22日からの私立入試が終わったら、そこで一息ついて公立入試という流れだが、間にもう一つ公立入試が入れば、1か月以上にわたって本番モードを維持しなければならず、それはそれで結構つらいことだ。

 複数方式というのは、選抜方式を大きく変えなければやる意味がない。
 つまり、一つ目の方式でも、もう一つの方式でも、合格者の顔ぶれに変化がないなら二度やる意味はないということだ。
 一方の方式では不利な戦いとなるが、もう一方の方式なら有利な戦いとなる。
 そういう生徒が出てくる。
 これが複数回方式の良さであろう。

 ところが、選抜方式をいろいろ工夫してみるが、結局合格者の顔ぶれはあまり変わらない。

 一方が学力検査のみの選抜、もう一方が調査書のみの選抜とすれば良さそうだが、一般的には学力検査と調査書の相関は高い。
 だから、推薦(または前期)で調査書のみの選抜をしたとしても、一般(または後期)でも合格するするはずの生徒を先取りしただけになる。

 では、推薦(または前期)では、学力検査はおろか調査書さえ見ない方式にしたらどうか。
 例えば面接のみ。
 その代わり一人30分の個人面接で根掘り葉掘り聞く。
 これも学力の高い生徒の方が有利である可能性が高いが、学力検査や調査書ほどのアドバンテージはないだろう。

 小論文や作文で決める。
 これはすでに行われているが、やはり学力の高い生徒に有利である。

 表現力・プレゼンテーションで決める。
 やはり、学力の高い生徒に優位性がありそうだ。

 というわけで、何をやっても、結局は学力の高い生徒に有利となる。

 では、いっそのこと一発芸で決めたらどうか。
 そうすれば、学力的には及ばなくても、個性のある生徒を合格させてあげられるかもしれない。
 が、そういう形で学力的に見合わない生徒を受けて入れてしまえば学校側もフォローが大変だ。
 何よりも生徒自身が苦労する。
 やはり学力もある程度は見ないと・・・
 となって、二つの選抜方式は、徐々に似通ってくる。

 であれば、学力試験と調査書中心の一回勝負でいいではないか。
 というのが、目下のところ埼玉県の結論であるようだ。

 入試制度を単純化して行けば、学校側、生徒側の負担は軽減されて行く。
 が、突き詰めれば弊害も出てくる。
 すると今度は、多様化に向かい始める。
 が、これも突き詰めれば負担は重くなり、弊害も生じる。
 こういう繰り返しだ。
 入試制度の設計は難しい。

 ちなみに、私のかねてよりの持論は学力検査一発方式だ。
 「たまたま当日は調子が悪かったんだ」と言い訳がきくからだ。

 受験生の皆さんは、今晩しっかり寝て、明日は自己ベストを叩き出してほしい。