本日(9月10日)の埼玉新聞1面トップ記事はコチラ。
 「埼玉の先生「危機的状況」 採用試験の競争率低下 高校は7.0→4.1倍に 大学生へ「教師塾」開講も」
 上記はWEB版記事。

 紙版の見出しはそれとは別。
 「過去最低2.5倍 改善急務 小学教員競争率 21年度実施試験 質の低下に懸念」
 「「危機的な状況」と教育長」

 教員希望者の減少、競争率低下と聞けば、すぐさまブラック職場だからとか、働き方改革が進んでいないからだという声が聞こえてきそうだ。
 が、それはいったん措いておこう。

 ここでは、この問題を少子化と関連付けて考えてみよう。
 少子化というと子供の数が減ったことばかりが話題になるが、子供はいずれ大人になる。
 少子化問題は、大人減少問題である。

 【出生数の減少】
 1984年(38歳)150万人を割る。
 1986年(36歳)140万人を割る。
 1989年(33歳)130万人を割る。
 1999年(23歳)120万人を割る。
 2005年(17歳)110万人を割る。
 2016年(6歳) 100万人を割る。
 2019年(3歳) 90万人を割る。
 とまあ、このようにハイスピードで出生数が減少しているわけである。
 カッコ内は現在年齢を表している。
 現在の大学生・就活生は、1999年生まれあたりということになる。

 この先、大学生・就活生の減少はさらに加速する。
 よって、教員希望者の爆発的増加、競争率の劇的な上昇というのは、ほぼ起こり得ない。
 つまり、右肩下がりに推移せざるを得ない。
 現状維持がいいところ。
 良くて微増。
 放っておけば、激減。
 
 こうした背景をまず頭に入れて、そこから考えよう。
 これからは、どの業界も今以上に人手不足になるのだ。
 人材の奪い合いがより激化するのだ。
 
 残業をなくすとか、残業代を払うとか、給料そのものを上げるとか、そういったことはもちろん大事なのだが、人材争奪戦の中では、どの業界どの企業でも考えることだ。
 だから、それだけでは問題解決にはならない。

 マスコミは、教育界だけで起きている特殊な状況であるかのように報じているが、そうではないだろう。
 そのような報じ方をするのは、いつも言うように、その方が読者・視聴者の食いつきがいいからである。

 教育界だけで起きている特別な問題という捉え方をしないほうがいい。
 というのが、本日の結論である。
  

 なお、中央教育審議会・「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会」が中間まとめ(案)を出している。
 
 「『令和の日本型学校教育』を担う 教師の養成・採用・研修等の在り方について」

 A4判約50頁ほどだ。
 時間があるときに、ざっと目を通しておこう。
 私は今日時間があったので、とりあえず通読したが、これといった改善策は見いだせなかった。