今日の記事は主に公立学校の先生を念頭に置いている。塾や私立学校の先生方にとっては何を今さらという内容になっているので、軽く読み飛ばしていただこう。

 本日1月10日より埼玉県内私立中学校入試が始まった。
 10日はいわゆる「入試解禁日」である。
 埼玉は1月10日、
 千葉は1月20日、
 東京・神奈川は2月1日、
 と、なっている。
 各中学校は、解禁日を含めた数日間に、複数回の入試を行うのが普通だ。

 中には、午前入試、午後入試と一日に2回設定している学校もある。
 中学入試は2科目(国語・算数)か4科目(2科+理科・社会)なので、午前中には試験が終わる。
 そこで、午前にA校を受け、午後にはB校を受けるというようなことも可能になるわけである。

◆受験者数日本一、栄東中学校の入試 
 昨夕、たまたまJR宇都宮線「東大宮駅」を利用した。
 駅構内では「明朝は、当駅最寄りの学校の入試のため大変混雑が予想されます」と繰り返しアナウンスされていた。
 東大宮駅最寄りの学校とは、もちろん栄東中学校である。

 栄東中学校には複数の試験日程・試験種別があるが、トータルの志願者は1万2625人(1月7日現在)である。
 栄東中学校 出願状況(同校HP)
 1日目の10日だけで5163人。
 同校だけでは収容できないので、系列の埼玉栄、栄北も試験会場として使用する。

 栄東中学校志願者がなぜこれほど多いのかというと、受験産業で言うところの「お試し受験」に利用されるからである。
 前述したように、首都圏では埼玉県内私立の入試日がもっとも早い。
 そこで、都内私立や神奈川県内私立を本命とする受験生たちが、本番への予行演習(腕試し)として受験してくるのだ。
 栄東に限らず埼玉県内の主要私立中学校では、県内受験生より県外受験生の方が多い傾向が見られるが、首都圏全体の入試日程が影響している。

◆保護者同伴の入試
 高校入試でも保護者の付き添いは見られるが、それほど多くない。
 しかし、中学入試は小学6年生が受けるため保護者の付き添いは必須だ。
 そこで学校側は、「本校会場の場合、保護者様控室を1000以上収容できる体育館に余裕を持たせてお席をご用意いたします」(春日部共栄中学校HPより)といった具合で、付き添い保護者にも配慮しなければならない。
 また、高校入試と異なり試験当日が初訪問というケースもあるので、「1 月 10,11,12 日の入試では、今まで開智中学校の学校説明会にご参加されたことがない方向けの内容にて、学校説明会を行います」(開智中学校HPより)というようなことまで行っている。併願作戦の一環で受けにきたが、実際に見て「ここもいいかな」と思う人も出て来るかもしれない。

 コロナ以前は、塾の先生方が激励に訪れるので、その対応もあったが、「駅および学校周辺やキャンパス内における応援については、今年度につきましてもお控えいただきますようご協力を何卒宜しくお願い申し上げます」(西武文理HPより)といった形で、自粛を促している学校がほとんどだ。マスコミ的には「絵になる風景」なので残念なところだが、今の状況ではやむを得ないだろう。

◆合格発表は当日の場合も
 出願締め切りが試験前日というケースも多く、中には当日申込可の学校があるのも中学入試ならではだ。
 合格発表も試験翌日というケースがほとんどで、即日(試験当日)発表の学校も少なくない。
 発表はもちろんインターネット。
 順位や得点なども含めて発表する学校もある。

 一人の受験生が5~6校を併願するケースが多いが、合否結果によっては志願校・受験校を変更する受験生も多い。
 本番直前まで志願者数・受験者数が動き、さらに、本番が始まっても動き続けるのが中学入試だ。

 各中学校のHPをざっと見てみたが、大宮開成が本日の模様を写真入りで伝えていたので紹介しておこう。(午後6時現在調査)
 (1/10)中学入試、始まる(大宮開成HP)