埼玉県公立高校、今日は生徒登校日の学校が多いだろう。
 (昨日も登校日の学校もある)
 
 22日の学力検査の日からずっと休みで1週間ぶりだ。
 が、明日3月2日は入試選抜会議でまた休みになる。
 となると、「この1日2日は一体何なんだ」となるが、1・2年生の期末考査をやらなければならない。
 2月以来自宅学習になっている3年生も卒業式を控えて呼んでおかなければならない。
 貴重な時間なのである。

 受験生としては、そんなに余裕があるなら早く発表してよ、というとことだろう。
 たしかに採点の方はもう終わっているが、選抜会議の準備がある。
 前も書いたように、合否はほぼこの段階で決まるという重要なプロセスだが、総がかりでやる仕事でもない。
 だから、担当以外の先生はこの貴重な一日二日を在校生のために使う。

 その昔、私は3年担任かつ進路指導部という役割が多かった。
 授業も3年中心だったので、2月以降は学校に行っても授業無し。
 放課後の部活の時間まで何をやっていたんだろう。
 あまりにも昔の話なので思い出せない。

 携帯電話がこの世に現れるはるか前なので、夜自宅に生徒から相談電話がかかってきたように思う。
 生徒は相談相手を選ぶ。
 優しい言葉が欲しいときは、そういう先生を選ぶ。
 ドンと背中を押してほしいときは、そうしてくれそうな先生を選ぶ。

 私に優しい言葉なんぞ期待している生徒など誰一人いない。
 じゃあ、何で来るのよ。

 一歩前に踏み出す勇気が欲しいんだろう。
 分かってるよ。
 だから、こう言う。
 「失敗したらどうしよう。落ちたらどうしよう。って、そんなのは結果出てから考えりゃいいんだよ。そん時は一緒に考えてやってもいいぞ」
 「だいたい勝負なんていうものは、勝つ気が強い方が勝つんだよ。負ける心配してるヤツが勝てっこねえだろう、このボケッ」
 と、全然相談にもアドバイスにもなってない。
 でも、それでいい。
 これでちゃんと期待に応えている。

 別に自分一人で指導しているわけじゃない。
 いろんな先生がいて、みんなで見ているんだ。
 生徒にしたって、これはこの先生に、あれはあの先生にといろんな相談相手がいたほうがいいだろう。

 そんな私が卒業式の日、最後のHRで話すこと。
 「卒業したら、いつまでも訪ねて来るなよ。もう俺はお前らの先生じゃない。役割は今日で終わりだ。明日から次の生徒を見なきゃならない。いつもでもお前らの面倒見てられないんだよ。だから、今日でサヨナラ」。
 
 生徒たちには前だけを見て、未来だけを見つめて進んで欲しい。
 いい若いもんが昔は良かったなんて言ってる場合じゃない。
 新しい友に出会い、新しい師と巡り合い、今が過去となり限りなく小さな存在となって行く。
 やがて忘れられて行く存在。
 先生って、そんなもの。