今日は学校や塾の先生にはあまり関係なさそうな話だ。
 「カウンターパート」。
 必殺パンチの話ではない。そっちはカウンターパンチ。

 決まった定義はないが、「カウンターパート」とは一般的には「役割や権限などが対等な相手」というほどの意味であろう。

 私のところに時たま取引先ではない民間企業の方が訪れる。
 飛び込み営業の新入社員ではない。

 今の時期は、証券・保険など金融機関をはじめ、いろんな会社の新入社員がアポなしでやってくる。
 一通り座学の研修が終わって、さあどこでもいいから現場に行って来いというわけだ。
 つい昨日まで学生だった若僧にまともな営業なんぞ出来るはずない。
 度胸試しみたいなものだ。
 訪問した証に名刺が必要らしいので、名刺交換くらいはしてあげる。
 もらった名刺はゴミ箱にポン。
 だって、二度と会うことはないから。

 話を戻す。

◆学校へのアプローチの仕方を教えて欲しい
 誰かさんの紹介みたいな形で、時おりやってくる人の話だ。
 こういう人は、多少なりとも私の仕事や立場を分かっているようだ。
 それにしても、学校関係に明るい人という程度で、詳しいことは分かっていないようだ。

 一番多いのは、学校を紹介して欲しいとか、学校へのアプローチの仕方を教えて欲しいというものだ。
 この場合の紹介は、ただ営業先になりそうな学校名を教えて欲しいというのではなく、会えるように段取りをつけて欲しいというものだ。

 まあ、場合によっては力になれるかもしれない。

◆上司を連れて来いよ
 最初の面会では、県内の学校事情であるとか、私の立場や仕事内容を説明する。
 ここで相手が、「どうもこの人違うな」と思えば、これが最初で最後の出会いとなる。
 そんなケースは腐るほどあるが、それでいい。
 私は別に紹介業をやっているわけではないのだ。

 たまに、少し話が発展し、再訪問となることがある。
 が、同じ人間がまた来る。
 それでは前の話と同じになるじゃないか。

 なぜ上司を連れてこない。
 学校の責任者に会いたいんだろう。
 長とか主任とか、あわよくば校長に。

 そりゃそうだ。
 営業というのは決定権者に会わなければ意味がないのだ。
 私に期待しているのもそこだろう。
 だったら、そっちも上司を連れて来いよ。

 ということで、ここでようやく「カウンターパート」が登場する。
 私が日頃お付き合いいただいているのは、学校であれば校長や教頭や、主任や〇〇部長(委員長)だ。
 塾ならば塾長や本部長や〇〇部長だ。
 そういう責任ある立場の方に、お前みたいな見ず知らずのペーペーを紹介できるわけないだろう。

 何も私自身が偉いとかそういう話ではない。
 長の肩書を持つ人は、全権は持たないまでも、ある程度まで実質的な決定権を持っている。
 であれば、こちらも同等な権限を持った人でなければならない。
 つまり、「カウンターパート」。
 「社に持ち帰って検討します」「上司に相談してみます」としか答えられないお前のことなんか、申し訳なくて紹介なんかできねえ。

◆あの人ダメみたいですよ
 わりと最近、上記のような事例が複数あったので書いてみた。

 たぶん訪れた営業マンは社に戻って上司に報告していることだろう。
 「あの人ダメみたいですよ。紹介できるほどのネットワーク持ってないと思います」。

 まあ少なくとも半分は当たっておるよ。
 だが、残りの半分はお前の脳みそが足らんからだ。

 サラリーマンだった頃の話だ。
 担当者に会えて、次の機会に課長に会えないとこっぴどく叱られた。
 課長に会えて、次の機会に部長と会う段取りをつけないと、これも叱責された。
 もちろん、そうなったら、こっちも部長なり本部長なりを同行する。

 大きな話ほど、それが決定できる権限を持った者同士が会わなければまとまらないのだ。
 当時自分の営業成績ばかりにとらわれていた私は、そのことが理解できなかった。
 なので、あまり大きな声では言えない。