本日の訪問校は県立久喜高校である。
「よみうり進学メディア11月号埼玉版」(授業特集)の取材だ。
同校は大正8年(1919)創立の伝統校である。
◆「女子」が付かない女子校
戦前は久喜高等女学校。
戦後の学制改革で久喜女子高校となるが、すぐに久喜高校と改称。
聞くところによると、この戦後の一時、共学の期間があったという。
その後女子校に戻ったが、校名はそのままで現在に至る。
(関係者の皆さん、間違っていたらゴメンナサイ)
なお、定時制のある学校だが、こちらは普通科男女共学。
これは間違いない。
◆バレーボールはかつて全国制覇
昔の話で恐縮だが、バレーボールでは全国のその名を知られた強豪校だった。
もちろん全国制覇の経験もある。
オリンピック選手も出ている(モントリオール五輪:吉田真理子選手)
私が高校に入学した昭和42年(1967)、埼玉県で国体が開かれた。
その年のインターハイチャンピオンとして臨んだ久喜高校は、決勝戦で豊橋東と対戦した。
場所は大宮公園の屋外コート。
セットカウント2対1で久喜がリード。優勝まであと1セット。
ところが、日が暮れかけてこれ以上は屋外では無理となり、体育館に移動した。
これで流れが変わり、3対2で逆転負け。
この国体には補助審判員(線審)として動員されており、目の前で熱戦を見ていたので今でも忘れられない。
昔話をもう一つ。
高校生のとき学校行事で50キロも走るマラソンがあったのだが、そのコース途中に久喜高校があった。
今はコースが変わっているのかもしれないが、当時確かに目の前を通った。
「ちょうど休み時間のタイミングに合わせようぜ」とバカなことを考え実行したが、校舎から女子高生が手を振ってくれるようなことはなかった。たぶん、バカは相手にするなと指導されていたのだろう。
バレーボール部は今もベスト8から16ぐらいでは頑張っているようだ。
最近はバスケットボール部の活躍がめざましい。
昌平、埼玉栄、正智深谷など私立の壁は厚いが、公立勢では久喜がトップだろう。
ワンチャン、全国もあるぞ。
◆最新機器と伝統的手法の組み合わせ
長い前置きだが、肝心の今日の授業である。
教員8年目、河野京介(こうの)先生による1年生数学Aの授業。
教室にはプロジェクターのほかに、真新しい電子黒板。
埼玉県には教育環境整備基金という寄付制度がある。
この制度を利用して、同校がICT環境整備のための寄付を呼びかけたところ、数千万円の資金が集まった。
卒業生(OG)から多額の寄付があったと聞いてるが、詳しいことは聞いていない。
同校はこの資金により、全普通教室に電子黒板を配備した。
今日の目的の一つは、この電子黒板がどのように使われているかを見ることであった。
夏休みに工事が終わったばかりなので、実際に使われるようになってからは1か月程度ということだ。
しかし、そこは30歳そこそこの若い先生だ。
つい最近使い始めたばかりとは思えない、見事な使いっぷりだ。
途中、ちょっとした操作ミスも起きるが、「ごめんね、ちょっと待って」とか言いながら、サクサクと修復してしまう。
若い人たちの上達の速さというのは、このあたりだね。
ちょっとぐらい上手く行かなくたって全然気にしない。
生徒たちはノートを使わず、もっぱらiPad。
このiPadは、先生の持つiPadと連動している。
これにより、先生は手元の機器で全員の思考過程や解答状況をリアルタイムで把握できる。
また先生は、もう一台iPadを持ち、電子黒板やプロジェクターの操作はこれで行う。
iPad二台持ち。
このあたりも、私たちの年代には高いハードルだが、若い先生は難なくこなす。
こうした授業で警戒しなければならないのは、コミュニケーションツールを使っていながらコミュニケーション不足に陥ることだ。
下手をすれば、生徒も先生も、画面と向き合う時間が長くなり、会話が少なくなり、フェースツーフェースの場面が少なくなる。
たぶん、そのあたりも考えてのことだろう。
適宜、机間巡視する。
生徒同士の相談タイムを設ける。
あえて黒板を使って説明する。
といった伝統的手法も織り交ぜながら、授業を進めて行く。
教員生活8年の経験がなせる業だ。
今回取材を受けるにあたり、校長先生は誰にするか迷われたという。
県でもその名を知られた「神教師」にするか、若手有望株にするか。
編集サイドとしては、若手を選んでいただいたことで、今回取材の4人がベテラン2人、若手2人という、非常に良いバランスとなった。
「よみうり進学メディア11月号埼玉版」用の取材は本日で終了。
新聞の発行は11月10日。
WEB版にも動画付きの記事が載る予定だ。
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