昨日の記事にコメントが入った。
 「生徒募集は学校間競争から地域間競争の時代へ」に対するものだ。

 そのコメントとは、「その地域間連携の中に、塾もどう参画していくのか、考えていく必要があるようにも思います」というもの。
 そう。いろんなことを本気で考えるのはいいことだ。
 まとまったら自身のブログででも発表してもらおうか。
 でも、考えるヒントは必要だと思うので、今日はそのあたりを話しておこう。

◆塾の時代は終わった
 塾の皆さん、とりわけ中小個人塾の皆さん、「お前はもう死んでいる」なのだよ。
 塾の時代は終わった。

 1970年代に塾のビジネス化が始まった。
 それから80年代、90年代、世の中金回りも良かったし、何より人が多かった。
 だから、市場に参加している全てのプレイヤーが利益を上げられた。
 大手は大手なりに、中小は中小なりに儲かった時代。
 が、そんな時代は二度と戻って来ない。

 と、こんな話をすると、いやいやそんなことはないと反論したい人もいるだろう。
 それは分かる。
 ただ、ここでは個別の事情を細かく語っている余裕はない。
 大きな時代の流れの話だ。

◆競争が必要なくなった
 なぜ塾が成立し得たか。
 これを高校入試の場合で考えてみる。

 昔は、高校の定員よりも「高校に入りたいと思う人の数」が多かった。
 そこに激しい競争が発生した。
 だから競争に勝つためのノウハウを教える塾の需要が高まった。
  
 大規模な設備投資も要らず、参入障壁が低いため、さまざまな業種・職種からの参入があった。
 これにより塾間の競争は激化したが、それを上回る小中学生数の伸びがあった。

 が、その時代は終わってしまった。
 高校や大学に入るのに今や競争はいらなくなった。
 もちろん一部では激しい競争があり、それは今後も続くと予想されるが、今いる塾業界の人たち全員が食って行けるような大きな市場ではない。

◆学校の生徒募集よりも塾生募集
 学校の生徒募集よりも塾生募集の方が難しい。
 その理由は第一に、学校に行かない人はいないが、塾に行かない人はいるからである。
 マーケットは向こうの方がでかい。

 第二に、学校は勝手に作れない。
 よって乱立状態にはならない(少なくともなりにくい)。
 公立は児童生徒数の減少に応じて学校数を減らしているが、塾業界はフリーな市場であるからこのような規制がない。
 常に供給過剰である。

 そんな時に高校の生徒募集を心配している場合か。
 まずは塾生確保だろう。

 あと出来ることと言えば、塾生に地域や近隣の学校の良さを伝え、その学校への進学を促進することが、それも塾生がいてこそ出来ること。

◆頑張る場所を間違えないように
 今年に入って中学生相手に2回の講演を行った。
 そこで言ったのは、「みんなの中で、頑張る場所を間違えている人がいるようだ」という話だ。
 
 勉強に絞って言えば、学校こそが一番頑張る場所だと思うよ。
 毎日行ってるし、一日に6時間も授業を受けているのだから、ここで頑張らない手はないね。 

 家はどっちかと言うと休むところ。
 食べたり、寝たり。
 スマホやタブレットで言えば充電する場だ。
 お父さん、お母さん方、子供に充電の場所を作ってあげてください。
 で、充電回復したら、ちょっとだけ予習復習する。

 さあ、そうなると塾は何するところ。
 
 塾は無駄とか、必要がないとは言ってない。
 塾の活かし方が間違っている。
 高いお金を払っているのに、もったいない使い方をしている。

 学習指導要領に縛られない、塾ならでは指導というのがあるはずだ。
 2学期の内容を1学期に、あるいは2年の内容を1年で教えたっていいわけだ。
 これは学校じゃ絶対に無理。生徒もそうだし親からもクレームが来る。
 なのに、「学校の進度に合わせます」。
 それでいいの。

 ちなみに私は講演で、塾は「もっと先」、「もっと上」の勉強すべきところと言っている。

 塾の先生方、令和時代に求められている塾の機能とは何か、あるいは令和時代の塾の社会的役割みたいなことを再考されたらいかがか。
 そうすると学校との関係のあり方も見えてくるのではないか。