ついに終身雇用制崩壊か。
 5月13日にトヨタの豊田章男会長から「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきたのではないかと」という発言があった。そこいらの企業じゃない。売上30兆円、利益2兆円の日本を代表する企業のトヨタの話だ。
 4月には経団連の中西宏明会長も「終身雇用はもう守れないと思っている」と発言している。
 ちょっと前には富士通が45歳以上をリストラ対象にするというニュースもあった。45歳と言えば、子供の教育費などでまだまだこれから金がかかる年齢だ。

 世の中完全に終身雇用崩壊シフトに入ってきたね。働き方改革の最終的な着地点は、もしかしたらここにあった?

 爺さんや婆さん、あるいは父さんや母さんの時代にあった安定というものは、この先の世の中には存在しない。そのことがはっきりしてきたのだが、そういう時代を生きてきた年配者には安定の無い時代を想像することができない。いつまでもあるものだと信じて疑わない。だからわが子にも安定こそ価値があると教える。

 安定なんてものはこの世に存在しない。ただ昭和から平成にかけての一時期、というか数十年の間だけ、数々の幸運が重なってたまたま安定という状態が出現した。そして今の年配者はたまたまその安定の時代に生まれ育ってきたので、それが普通の状態であると思い込んでしまった。

 いい大学を出て大きな会社に勤めれば一生安泰。
 過去に一瞬だけそんな時代があった。ラッキー!
 それだけのことだ。

 指定券を手に入れて列車に乗れば、あとは目的地まで自然に行き着けるのが今までの時代。だが、これからは突然途中下車を迫られるかもしれない。いや、そもそも終着駅までの直通列車がないのだ。指定券や特急券やグリーン券の意味が薄れてきた。ほとんど無くなった。

 世の中の普通の状態は不安定である。だが、不安定な時代を経験して来なかった我々年寄りは、不安定な時代を生きる知恵に乏しい。
 さあ、どうする。