今日のYahoo!ニュースからピックアップしたのが下の記事。

1人の生徒が1つの公立高校にしか出願できない「単願制」、河野太郎氏が問題視–「困窮家庭に不利」

 このニュース、発信元は「CNET japan」というメディアで、運営会社は朝日新聞社の100%子会社である朝日インタラクティブ株式会社である。

 河野太郎氏は外務大臣ほか要職を歴任し、一時は次の首相の呼び声も高かったが、昨年の自民党総裁選では9人中8位と惨敗。
 今はほぼ無役(調べたら選挙対策委員長代理だった)。
 ちょうど高校授業料無償化の流れで入試への関心も高まっていることだし、ここで何か言っておこうということか。
 
 記事によると、河野太郎氏は「受け入れ保留アルゴリズムを公立高校入試に導入すべき」と主張している。
 受け入れ保留アルゴリズムとは耳慣れない言葉かと思うが、2021年に下記のようなレポートが発表されている。
 執筆者は「東京大学マーケットデザインセンター(UTMD) 学校選択制検討チーム」である。

 公立高校入試制度の再設計に向けた提言: 単願制が引き起こす不公平とその解決策

 河野氏の発言は上記に基づいたものである。
 というより、レポートそのまま。

 最適な入試制度設計を経済学やマーケテイングの観点から研究してみようという試み。
 それ自体は悪くないだろう。
 ただ、単願制(一校しか受験できない)をやめれば入試が公平になり、経済的弱者が救済されるという主張には首を傾げる人も多いだろう。
 もちろん研究者(執筆者)たちもその点は分かっていて「単願制が続いてきたのには一定の理由がある」と、その点は認めており、教育関係者と研究者の協力が不可欠だと結んでいる。

 それほど長いものではないので、皆さんにはぜひ元のレポートをお読みいただきたいと思う。
 新聞記事はきっかけとして有効なのだが、それだけだと河野太郎氏がどうだとかこうだとか、あるいは文部科学省の政策がどうだとか、別の方向に行ってしまう可能性がある。
 こういう研究レポートがあるということを知っておいても無駄ではあるまい。