文部科学省は、公立学校の教員採用試験について、再来年度から全国共通化することを決めた。
共通化するのは1次試験にあたる筆記試験で、面接などは教育委員会ごとに行う。
文科省 公立学校教員採用試験の筆記 再来年度から全国共通化へ(NHKニュース 8月7日)
教員採用共通テストは希望する教育委員会が参加する。
問題作成は外部機関に委託する。
試験日が異なることもあるので問題は複数パターン用意される。
◆志願者増加が目的ではない
教員採用については、希望者・志願者の減少が最大の課題であるのは言うまでもない。
では、試験の共通化で志願者は増えるのか。
増えるわけがない。
文科省もそう思っている。そこは分かっている。
これは、教員希望者・志願者を増やすための方策ではない。
採用試験実施にかかる経費節減と負担軽減のために行うものである。
試験の実施には、問題作成費、印刷費、会場費、人件費などさまざまな費用が発生する。
これらの費用は、極端な話、受験者が1人でも100人でも変わらない。試験実施の追加的費用は一般的には低減するものなのである。
もっとも分かりやすいのが問題作成費で、これは受験者が1人でも、1000人でも、1万人でも一緒である。
印刷費や採点費などは受験者数により増加するが、今も言ったように追加的費用は低減するから1人が1000人になったところで1000倍になるわけではない。
しかし、試験問題は受験者ゼロでも作らなければならない完全なる固定費である。
となれば、希望者・志願者が激減している今日、完全なる固定費である問題作成費を何とか減らそうと考えるのは当然ではないか。
ほとんどみんなが受かってしまうような試験のために、時間と費用と労力をかけるのはやめよう。
そこで共通化。
採用試験の問題作成は主に教育委員会の指導主事や管理主事、あるいは校長、教頭などが関わっていると思われるが、みな多くの任務を抱えており、問題作成にばかり時間をとってはいられない人々だ。それでも採用人数が多い上に志願者が多く倍率も高かった時代にはそこに多くの時間を割く意味もあった。しかし全員合格の時代に問題作成に多大な時間を割くことの意味は見出だせない。
いまなぜ採用試験問題の共通化なのか。
と、疑問に思った人も多いだろう。
その答えは志願者が減ったから。
地域ごとの特色ある試験にこだわっている場合ではなくなったということだ。

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