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「わいせつ処分歴」確認せず 臨時教員など8907人の採用で 埼玉県教委 国が義務付けているデータベース未活用 他自治体での未活用報道受けて調査(埼玉新聞 8月14日)
 ※紙面版では13日に記事が出ている。

 埼玉県教育委員会は、2023年度以降に採用した臨時的任用教職員など8907人に対して、国が義務付けている「特定免許状失効者等に関するデータベース(DB)」を活用した処分歴の確認をしていなかったと発表した。
 
 DBには、児童生徒に対する性暴力などにより教員免許状を失効した者の過去40年分の記録が蓄積されている(当該者は2698人)。

◆DB活用の実態調査
 先般、名古屋市で、市立小の教諭が女子児童の盗撮画像などをSNSで共有した疑いで逮捕、起訴される事案が発生した。その際、捜査の過程で、同市教委がDBを活用していなかったことが判明した。
 そこで、文部科学省は活用状況に関する全国的な調査が必要だと判断した。

 埼玉県教委も、こうした状況を踏まえて調査をしたところ、2023年4月から25年7月までに採用した臨時的任用教職員1万3861人のうち8907人(64.3%)がDB未活用であった。
 なお、本採用の教職員についてはすべてDBを活用していた。

 各都道府県等における調査は今後も続くので、DB未活用の教育委員会等はまだ出てくる可能性がある。(8月8日、文部科学大臣記者会見で活用実態の調査を開始したことが明らかになった)

◆私立の活用は遅れている
 文部科学省が学校法人などを対象に調査したところ、DBの「ユーザー登録をしていない」が42%、「登録しているが活用できていない」が33%に上った。
 私立学校はコンプライアンスの観点から、まずは登録をしよう。国が本気を出せば法人名の公表だってできるのだ。 

◆DBで排除できるのは僅か
 言葉を選ばずに言えば、このDBは前科者のリストである。
 これを活用したとしてもそれだけでわいせつ案件がなくなるわけではない。
 まだ教職に就いていない新卒者(大学生)などは処分歴がないわけだからこのDBには載っていない。
 現職教員も、過去に処分を受け免許が失効していない限りここには出てこない。
 若手から中堅・ベテランまで、さらには校長・教頭など管理職までが盗撮事件などを起こしている時代だ。
 これから雇う新卒者や臨時職員よりも現職のほうがはるかに大きな問題なのだ。
 
 DB活用は、防止策としての効果は限定的であるが、この程度のことさえやらないのかと本気を疑われるので、決められたことはやってもらおう。