愛知県豊明市議会が「スマホ1日2時間条例」を制定しようとしている。
 全住民を対象に、仕事や勉強以外の自由時間にスマートフォンやゲーム機器などを使う時間の目安を1日2時間以内とするよう促す条例案である。
 小学生以下の使用は午後9時まで、中学生以上は午後10時までとするよう求める内容も盛り込まれるという。

◆理念条例
 豊明市のこの条例だが、強制力もなければ、罰則などはない。
 それでは意味がないじゃないかという意見もあるが、全国各地でしばしばこのような条例が制定されている。
 一種のスローガンのようなもので、こうした条例を自治基本条例(理念条例)などという。
 
 埼玉県では「エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」が作られた。
 エスカレーターを利用する者は、立ち止まった状態でエスカレーターを利用しなければならない」というものだが、これには罰則はなく、相変わらず階段のように昇る者が多い。

 一昨年だったか埼玉県議会自民党が「留守番条例」を制定しようとしたが、あまりにも現実から乖離した内容であったために多くの反対にあい結局取り下げになった。

◆面白条例
 条例は、都道府県議会や市町村議会など地方議会で制定することができる。
 地方自治において重要な機能であるということで中学校社会科の教科書にも登場するし、教科書にある以上、入試でも出題される。

 そんな大事な大事な条例であるが、話題作りが優先しているのではないかと思われるものもある。

 「あついぞ!熊谷お祭り条例」
 伝統行事を次世代に引き継ごうという趣旨は悪くはないが、何が何でも暑くて住みにくい町をアピールしようという姿勢はどうなのか。
 「大きな声で川口が大好きと叫んでみませんか川口プライド条例」
 長い。
 「おいしい狭山茶大好き条例」(入間市)
 1日1杯狭山茶飲もう。

 半分おふざけのような条例が多発すると条例とはそんなものなのかと誤解する人も出てきそうだが、通称「迷惑防止条例」などは痴漢や盗撮を禁じるものであり罰則もある。
 また、教育関係でも、「学校設置条例」やら「学校職員定数条例」などがあるのは皆さんご存知のとおりである。

 議会での審議はこれからであり実際に制定されるかどうか分からないが、愛知県豊明市(とよあけし)は、この条例案がマスコミやネットで話題になったことである程度目的を達成することができたと言えよう。