久喜高校バスケットボール部の練習を見てきた。
 よみうり進学メディア埼玉版9月号「部活特集」の取材である。
 猛暑の中、エアコン無しの体育館での取材はさぞきつかろうと覚悟して行ったが、今日は思いのほか涼しくラッキー。

 埼玉県の高校女子バスケ界では埼玉栄・昌平がトップに君臨し、それを正智深谷・山村学園といった私立勢、久喜・草加南・朝霞西・市立川越・浦和西といった公立勢が追う形だ。

 昨年は常にベスト4をキープし、頂点に迫る勢いを見せた久喜高校だが、今年はこれまで関東大会予選ベスト8、インターハイ予選ベスト16とやや物足りない成績だ。が、それでも強豪の一角であることは変わりなく、次の大きな目標であるウィンターカップを目指し練習に励んでいる。

◆指導方針は「大人との接点を増やす」
 顧問の(監督の)早川拓先生に部の指導方針を尋ねた。お決まりの質問だ。
 で、その答えは、「大人との接点を増やす」。
 これ結構意表を突いた答えなのだが、私の方で、この新聞はバスケ専門誌ではないのでと断わりを入れてからの質問だったので、気を利かせてくれたのだろう。
 要するに、高校部活動としての指導のあり方ということだ。
 早川先生曰く、「バスケットで結果を出すことも目指しますけど。それよりも社会出た時に、何ができるか。自分からバスケットを取った時に何が残るかというのがすごく大切だと思っています。ですから、たくさんの大人と出会う環境を作って、いろんな大人を見た中で、自分がどうなりたいかというのを高校生のうちから考えてもらいたいと思っています」

 昔に比べると家庭でも地域でも、大人との接点は少なくなっているかもしれない。大人と出会う機会が多ければ、それらがロールモデルとなり、自身の将来を考えるきっかけにもなるだろう。
 私は、久喜高校バスケットボール部のインスタグラムをよく見ているが、たしかに単なる練習日誌ではなく、いろんな体験、いろんな人々との交流が紹介されている。
 プロチームとの合同練習しました。
 大学で栄養講習を受けました。
 祭りのゴミ拾いを行いました。
 消防士の訓練を体験しました。
 チームビルディング研修を受けました。

 中身が濃く厳しい練習を続ける一方で、校外に出て行ったり、校内に招いたりして、いろんな体験をさせている。そして、いろんな大人との触れ合いの機会を作っている。
 もともと運動が、バスケが、好きな子たちの集まりなんだろうが、それに加えて、これだけ多くの出会いがあれば、そりゃあ楽しくて止められんわ。

◆自分が上手くなれたよりも大切なのは
 それともう一つ。
 早川先生は、外国人コーチから教わった話と断りつつ、こんな話をしてくれた。
 「(練習で大事なのは)今日の練習でどれだけ仲間をうまくできたか、である」
 
 普通は、「自分がどれだけうまくなれたか」となるところだが、「仲間の成長にどれだけ関われたか」が評価軸となる。なるほど。これは目からうろこ。
 たしかに練習中、いろんなことを言い合っている。学年の違いとか、レギュラーか控えかという違いはないようだ。

 こういう言い方が合っているかどうか分からないが、「ずっと見ていられる練習」というのが今日の感想。授業見学でも、内容が分かる分からないは別として「ずっと見ていられる授業」というものに出会うことがあるが、それと同じ感覚を味わった一日だった。