埼玉県公立高校入試は、令和9年度入試から大きく変わる。
調査書の様式が変わり、全受検生に面接が課され、自己評価資料が導入される。学力検査ではマークシート方式が採用される。
それぞれを見ると、かなり大きな変更である。だが、これらを一つひとつ別々の改革として見るより、社会や学校を取り巻く環境の変化に対応した一連の改革として見た方が分かりやすいのではないか。
◆生徒の活動が学校だけでは把握できない時代
かつて中学生のスポーツや文化活動の中心は学校だった。したがって、それぞれの生徒がどの部に所属し、どんな大会に出場し、どのような実績を残したかは、中学校(の先生)がほぼ把握できた。
ところが、部活動の地域移行・地域展開も相俟って、生徒の活動場所は学校外へと広がってきている。
スポーツクラブ、文化団体、民間スクール、地域活動、ボランティアなど、学校外で活動する生徒は今後さらに増えるだろう。
そうなると、中学校の先生が一人ひとりの活動を正確に把握し、確認し、調査書に記載することは次第に難しくなる。
しかも、正確に書こうとすればするほど確認作業は増える。これは教員の働き方改革と逆方向に進みかねない。
そこで令和9年度入試では、調査書を大幅に簡素化し、部活動や資格、出欠などの記載をなくす方向となった。
◆「学校が書く」から「本人が語る」へ
部活動などの情報を調査書から外したからといって、「中学校時代に何をしてきたか」を高校側がまったく見なくなったわけではない。
そこで登場するのが面接と自己評価資料である。
学校外を含め、自分がどのような活動をし、何を考え、何を学んできたか。それをまず本人が振り返り、自己評価資料に書く。そして面接で自分の言葉で説明する。
そう考えると、調査書の簡素化と全員面接は別々の改革ではない。
従来は、
「中学校が把握する→教員が調査書に書く→高校が読む」という流れだったものを、
「本人が振り返る→本人が書く→本人が語る→高校が確認する」という流れに変えようとしているのである。
なぜ突然、全校・全員面接なのか。
その理由を考えるとき、この視点は欠かせないだろう。
◆マークシートも同じ流れにある
学力検査へのマークシート導入も、同じ大きな流れの中にあると言えそうだ。
東京都では大規模な採点ミスが問題となり、それがマークシート導入の直接的な契機となった。一方、埼玉県では同様の大規模な採点ミス問題が起きたわけではない。
県は入試改革の検討段階から、採点を含む入試業務全般の見直しやDX化を掲げてきた。
つまり、埼玉県におけるマークシート方式導入は、採点作業の効率化、正確性の向上、業務負担の軽減という文脈で見る方が自然だろう。
調査書を簡素化する。学校外活動については本人が説明する。採点可能な部分は機械化する。
これらを合わせて見ると、今回の改革には一つの方向性が見えてくる。
これまで学校と教員が抱え込んできた情報収集、確認、記録、採点といった仕事を整理し、本人に返せるものは本人へ、機械に任せられるものは機械へ移していく。
私は、この方向自体には十分な合理性があると思っている。
ただし、制度は公立入試だけで完結しているわけではない。
ここに私立高校入試を重ねると、別の問題が見えてくる。
改革によって仕事は本当に減るのか。
次回は、そこを考えてみたい。

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