徐々に学校取材が出来るようになってきたので、先週末、オンライン授業の発信現場を訪ねてみた。学校HPなどにもその様子がアップされているが、生の現場を見てみたい。

 一教室ごとに先生が一人。これは普段でもそうだが、生徒が一人もいないところがいつもと違う。廊下には有線ランのケーブルが何本も引かれている。各教室にWi-Fi環境はあるが、一斉に何十人もの先生が発信するので有線の方が安定するようだ。
 

 廊下を歩いていると先生の声が聞こえてくる。
 いやー、さすが先生たち授業上手いわ。って、プロに向かって言うのは失礼なんだが、目を閉じて聞いたら、実際に目の前に生徒がいるんじゃないかと錯覚するくらい結構リアルな授業が展開されている。
 ちょっと前までは、ZOOMってどうやるの?という先生がほとんどだったはずだが、その扱いになれてしまえば本領発揮というところだ。

 私は講演会みたいなものはよくやるわけだけど、基本一方通行でしょう。でも、授業というのは終始双方向なわけで、生徒とのやり取りが肝。コミュニケーションが命。
 そこはどう逆立ちしたって現役の先生には敵わない。

 生徒は制服で授業を受けている(少なくとも上半身は)。
 服装なんかどうでもいいじゃないかという意見もあるようだが、個人的には服を着替えないとスイッチが入らない派なので、これでいいんじゃないかと思う。
 朝のホームルームに始まって午前中3時間の授業。いつもより時数は少ないが、朝寝坊できないし、生活のリズムを狂わせないというだけでも効果はある。

 先生たちは学校支給のPCやタブレットを使っている人が多いが、使い慣れた個人用を使用している人もいる。生徒の方は、PC、タブレットのほかスマホまで含めれば受信環境を用意できないのは約1800人のうち3人ほどだったという。これだったら、学校から貸し出しするなどして容易に解決できる。
 ただ、デバイスの面での障害がないというのは高校生だからという理由が大きい。中学生や小学生では、なかなかこうは行かない。

 学校再開後の授業は、教室での対面型授業と、オンラインによる遠隔授業のハイブリッド型になるのかな。いや、なるだろう。

 何度か言ってきたが、デバイスや通信環境が用意できないという問題は、これまでは出来ないとかやらないとかの理由とされてきたが、早急に克服すべき問題に変わった。
 今般のコロナ禍により学校や先生の意識は大いに変わったと思われる。次は、親の意識も変えてもらわなければならない。子供が野球やりたいと言えばグローブ、サッカーやりたいと言えばスパイクを買ってやるでしょう。だったら、子供が勉強したいって言ったら、塾に行かせるのと同じようにタブレットの一台くらい買ってあげなさいよ。そういうのが共通の認識にならないと。

 その上で、それが困難なら、こういう制度がありますからといろいろな手立てを用意する。
 この手順が大事。そうじゃないと、家庭の事情も考えず学校が無理難題を押し付けてくるという話になってしまう。
 これからの教育のあるべき姿について学校(塾)と家庭が同じ方向を向くのが先決で、そこが理解し合えれば、デバイスや通信環境の問題はそれほど難しくないのではないか。