本日、授業見学のため川越初雁高校に行って来た。
川越市内には8つの公立高校がある。
川越、川越女子、川越南、川越西、市立川越、川越工業、川越総合。
ここまでは訪問したことがある。しかも、駅から徒歩というのも経験済み。
そして、残された1校が川越初雁。
これは何としても駅から徒歩を敢行せねばなるまい。
◆駅から楽勝の徒歩25分
東武東上線「新河岸駅」西口下車。
駅前通りを直進。国道254号を渡り、次の信号を左折。
たぶん、これが旧川越街道と思われる。
市立高階中学校を左手に見て、「南会館入口(初雁高校入口)」交差点を右折。
直進し、右手に木村製作所が見えたら、左斜めに折れる。あとは真っ直ぐ。
ビデオを回し、ブツブツ言いながら歩いて約25分。
個人的には楽勝の徒歩圏内だ。
◆埼玉県公認?の公開授業
さて今日の授業見学。
いつもの「ちょっと授業見せてね」でもなく、新聞取材でもなく、埼玉県公認?の研究授業である。
よって、教育委員会や総合教育センターの指導主事の先生方に混ざっての見学だ。
担当は国語科・上田祥子先生。
上田先生の授業を見るのは4回目だと思う。
なぜ、同じ先生の授業をそんなに見に行くの?
それはご本人から案内をもらうからだよ。
公立学校は、われわれ民間人には冷たくて、滅多に声をかけてもらえない。
だから、呼ばれたら喜んで出かける。
それと、この先生の授業は面白い。
チャレンジ精神旺盛で、行く度に「今日は何をしでかすか」、ではなかった、「どんな新しい試みを見せてくれるか」と期待感が高まる。
◆試作品を見せて完成を早める魂胆か
偉そうに言うが、授業の完成度は必ずしも高いとは言えない。
でも、見る側としてはそこがいいんだな。
完璧に出来上がった授業を見たって、「お見事」の一言で終わり。何の感動もない。
その点、上田先生の授業はいいぞ。
ツッコミどころがいくらでもある。
が、ここで考えた。
もしかしたら、先生はあえて試作品を見せようとしているのではないか。
味見をさせようとしているのではないか。
周りからのツッコミを自らの成長の糧にしようと企んでるのではないか。
いい度胸だ。
そういうの嫌いじゃない。
ブログ読者の中に経験の浅い若い先生がいたら、言っておこう。
上手くなってから授業を見せようなんて思ってたら、いつまでかかるか分からんぞ。
上司や先輩にどんどん見てもらったほうがいい。
それと、誰もやったことがないチャレンジングな授業は、みんなに見せた方が完成は早まる。
◆久しぶりに見た知識構成型ジグソー法
今日のポイントは、ジグソー法を用いた授業である点だ。
正確には「知識構成型ジグソー法を用いた協調学習」。
埼玉県教育委員会が、東京大学CoRFF(コレフ)という機関と連携して進めている、一種のアクティブラーニングだ。
この形態の授業を見るのは久しぶりだ。
授業には「狙い」というものがある。
目標や目的のない授業はありえない。
授業には教材が必要である。
材料なしに出来上がるものなどない。
そして、授業には形式、形態というものがある。
何を選ぶかは「狙い」と深く関係する。
さて今回。
芥川龍之介の「羅生門」を教材として、「比喩」や「比喩の力(役割)」に気づかせることを、ジグソー法という形態で実践されたわけである。
事前に指導案を送ってくれた。
私は、三つの組み合わせに違和感を覚えた。
「比喩」をターゲットにするのはいいとして、教材が「羅生門」というのはどうなんだ。
ジグソー法でなければいけないのか。他の形態は考えられないのか。
上田先生がジグソー以外のいろんな手法を持っていることを私は知っている。
◆集中保てるのは先生の力だけではない
実際の授業。
さすがに上手い。時間を無駄にしない。
今年3月までは所沢北高校という進学校にいた先生が、川越初雁高校の生徒とどんなコミュニケーションをとるのか。
しかし、上田先生はこの点は軽くクリアした模様だ。
生徒はよく反応し、よく発言している。
力のある先生は、相手は関係ないんだ。
生徒は意見は述べるが、人の意見を「聞く力」は所沢北の生徒などと比べるとやや劣るという印象だ。
だから、生徒同士の話し合いを聞いていると、噛みあっていない場面がしばしば見られる。
ただ、50分間集中は切れない。
これが先生の功績であり、力量であるのは間違いないが、私はここに生徒たちの可能性を感じた。
大勢の先生方に見られて、生徒たちは緊張し固まってしまうのかと思いきや、むしろ嬉しそうである。
私にはそのように感じられた。
ここ、結構重要なところだと思う。
頑張っているところを見てもらいたい。いいとこ見せたい。
◆挑戦的な授業はいつ見ても楽しい
授業後。
「狙い」と「教材」と「授業形式」の組み合わせについて違和感のあった私は、先生にその点をたずねた。
どうやら今日の公開授業には、ジグソー法であるという条件が付けられていたようだ。
そうか、「ジグソーしばり」があったわけだ。
「羅生門」はちょうど教科書の順番的に、この時期にぶつかった。
これはつまり「教科書しばり」、「進度しばり」だな。
そういった制約の中で、先生が大きなテーマとして掲げる「語い力」、「比喩力」、「表現力」などの向上を目指したわけだ。
まあ考えてみれば、都合よく条件が揃う授業なんてものは無い。
授業はいつでも条件付きだ。
しかし、それをものともせず、むしろ、そういう場面を楽しむかのようにチャレンジングな授業を続ける上田先生を見ていると、こちらも楽しくなる。
次の機会にもまた呼んでくれるかな。
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