政府が小学校1学級あたりの上限人数を35人に引き下げる方針を固めた。
 現行の上限は小1のみ35人、小2から中3までは40人となっている。が、来年度は小2を35人とし、その後学年ごとに順次引き下げ2026年度に小1から小6までの35人学級を実現する。

 まあ、基本的にはいいことだと思う。

◆現在の35人学級実現率は
 さて。
 表面的な数字だけで見ていると、今の小学校の教室にはもれなく40人が収まっていて、それが35人になるのかと思いがちだが、もちろんそうではない。
 仮に1学年41人だった場合、1クラス上限40人だから2クラス編成にしなければならず、A組21人、B組20人といった形になる。
 つまり、上限40人という制度の下でも、すでに少人数学級が実現している場合もあるということだ。

 そこで、現時点での35人学級実現率を調べてみることにした。
 どこかに資料があるのかもしれないが、それは後で探してみることにする。
 調べたのは自分が住んでいる「さいたま市」の場合である。

◆さいたま市では現状35人以下学級が60%
 政令指定都市で人口130万人を数える「さいたま市」は、さすがに学校数は多く、公立小学校が104校ある。

 学校基本調査を参照すれば、各小学校の学年ごとの児童数が分かる。
 そこで試しに、各学校の小学2年生の1クラス平均人数を割り出してみる。

 たとえば、事務所のすぐ目の前にある高砂小学校の場合、小2は185人いる。4クラス編成では40人以上学級ができてしまうので5クラス編成になっているはずだ。すると、(185÷5=37人)となり、現行のルールはクリアできても35人学級を実現するためには、もう1クラス増設し6クラス編成にする必要がある。
 するとどうなるか。
 (185÷6=30.8人)となり、1クラス30人程度の少人数学級が実現する。

 くどいがもう一例。
 これもわが社から比較的近い仲本小学校の例を見てみる。
 小2は131人だから、4クラス編成となっているとみられ、(131÷4=32.8人)で現状でもすでに35人学級をクリアしている。

 このような計算を104校についてやってみた。ただし、現小学2年だけ。
 結果は。
 現状でも既に35人学級が実現していると考えられる学校は104校中63校ある(60.6%)。63校中、1クラス30人未満と考えられる学校が25校ある。
 また、現状実現していない41校に35人学級が適用されると、そのうち30校は30人未満学級が実現することになる。

◆20人台の学級が出現する可能性も
 あくまでも個人的な試算なので誤差はあるだろうが、ここで分かったのは。
 1 別にすべての学校、すべての学級が40人という現状ではない。
 2 すでに実質的には35人となっている学級も多い。
 3 35人学級になると一気に20人台になる学校、学級も多い。

 わざわざ計算してみなくても直感的に分かることだが、データを当たってみて発見できることもある。

 今日は、35人学級で変わることと、変わらないことをテーマに書くつもりだった。
 たとえば、先生の働き方はこれによって劇的に変わるわけではない。
 そのあたりのことは明日以降書くことにしよう。