令和5年4月開校の児玉新校を取材するため、児玉白楊高校を訪ねた。
 来年4月には第1期生を迎えるから、今年から新校としての募集活動を始めなければならない。
 が、校名はまだ決まっていない。

◆新校名決定は6月末か
 校名については条例改正を伴うので、埼玉県議会(6月定例会)の審議を待たなければならない。
 2校統合による新校開校は規制の事実であるが、形式的には(法的には)まだ存在していない学校であるから、表立った募集活動はできない。
 それに、名称も決まっていないのでは士気も上がらない。

 生徒募集という点で、知名度のない新校はそれだけで不利である。
 加えて募集活動の実質的なスタートが既存の学校より遅れ、さらに不利になる。
 なぜ6月議会まで待たなければならないのか。
 そのあたりの事情は私にはよく分からない。

 いずれにせよ、不利な状況からスタートしなければならない新校であるから、少しでも応援しよう。
 というのが今回の取材の動機だ。
 なお、取材の主体は埼玉新聞社である。

◆両校合わせて220年余の歴史
 これまでにも県立高校の統廃合は数多く行われてきた。
 が、今回のケースは過去の統廃合とは様相が異なる。

 過去の統廃合は、一校がもう一校を吸収するような形、別の言い方をすればどちらか一校を事実上廃校にするような形で行われてきた。
 企業合併で言えば吸収合併だ。
 だが今回は、どうやら対等合併であるようだ。

 これには両校の歴史も関係している。
 児玉高校、1922年(大正11年)創立
 児玉白楊高校、1899年(明治32年)創立

 両校とも変遷を経て今日に至っているわけだが、児玉は100年、児玉白楊は123年の歴史を持つ伝統校だ。
 普通科校と専門高校との合併も珍しいが、こうした伝統校同士の合併は過去に例がない。
 前述したように、過去の多くの事例は、一方の事実上の廃校であった。
 だが、地元を中心に卒業生や関係者が多い伝統校同士であるから、一方を廃校するわけには行かない。

◆新校は、こんな学校
 結果、どのような形の新校となるのか。
 
 児玉高校(普通科+普通科体育コース)
 +
 児玉白楊高校(生物資源科、環境デザイン科、機械科、電子機械科)
 ↓
 児玉新校(普通科、生物資源科、環境デザイン科、機械科、電子機械科)

 という具合に、きれいに両者を合わせた形となっている。
 変化と言えば、児玉の普通科体育コースが消滅したくらい。
 ただこれも、普通科は2年次以降、地域創造系とスポーツ健康科学系に分かれるということで、児玉の体育コースの流れは止めない。

 校地は現在の児玉白楊となる。
 また、普通科でも農業や工業に関する基礎知識を習得させるというから、対等合併といっても完全な五分五分ではなく、6対4から7対3で児玉白楊寄りといった印象だが、児玉にも十分配慮した形となっている。

 新校ホームページにこのような資料が掲載されている。
 
 コンセプトは「児玉プライド」となっているが、良くも悪くも両校のプライドを賭けた統合と言えよう。

 帰りに生徒が実習で作ったチリトリをいただいた。
 いつもなら文化祭で来場者に配っているが、一般公開できないので在庫が豊富にあるそうだ。
 大事に使わせてもらいます