親しい友人たちが明日で後期高齢者となる私のために昼食会を開いてくれた。
 旨い飯を食ってお茶して他愛ないお喋りをして、いい気分で帰途についたところ、乗っていた電車がガツンと音を立てその後急停車した。

 どうした、どうした、なんか屋根の上の方から音がしたぞ。落下物でもあったか。
 列車は湘南新宿ライン古河行き。新宿から乗車した。クソッ、埼京線にしとけばよかった。と、思っても、もう手遅れ。車内の電気は消え、エアコンも止まった。
 間をおかず車内放送があった。「電車が木とぶつかった。いま、確認している」。

 車外を見ると王子駅のちょっと手前、飛鳥山公園の真横。ということは公園の木が倒れてきたか。「木とぶつかった」(女性車掌)というから、突然線路上に木が生えたのかと思ったが、たぶんそうじゃない。
 
 20分、30分と時間が経過する。照明とエアコンは比較的早く回復した。
 幸い車内は比較的空いており、座ることこそできなかったが、他人に迷惑をかけずに体を動かすことができた。前後左右を人に囲まれた状態じゃなくて良かった。

 かれこれ1時間近く経過したころ、「木の伐採がもうじき終わるので、あと20分で運転再開の見込み」とのアナウンスがあった。おいおい、まだかかるんかい。
 と、絶望的な気持ちになっていたところ、目の前の席に座っていた老夫婦の旦那の方が、「どこまで?」と尋ねてきた。「浦和までです」と答えると、「じゃあちょっと席替わろう。自分らは栃木県でまだ先が長いから」と、さっと立ち上がった。年齢は私より上かな。だが、がっしりとした体つきだし、顔の色つやもいい。
 まあ、健康的という点では人後に落ちないと自負する私であるが、ここは気持ちよく好意を受けよう。
 お二人は栗橋までこの電車に乗り、そこで乗り換えるという。
 「そうなんですか。あそこは「新古河」「柳生」までが埼玉県で、次の「板倉東洋大前」が群馬県、その次の「藤岡」が栃木県と一駅ずつ県が変わるんでしたよね」
 「たしか「三県境」というのがありましたよね」
 「渡良瀬遊水地は走りに行ったことがありますよ」
 「東洋大学は朝霞に引っ越しちゃいましたけど跡地はどうなるんでしょうね」
 なんてことを話しているうちにようやく列車は動き出し、トイレに行きたかった私は、お二人に礼を述べていったん赤羽で降車した。

 というようなアクシデントで疲れたので、今日は難しい話は無し。