進路希望状況調査関係の記事を続ける。
 本来ならここから始めなければいけなかったというのが今日の話題。
 すなわち埼玉県全体の動向である。
 皆さんの関心が各校倍率にあると思い、そちらを優先したが、私立を含めた全体動向にも目を向けなければならない。

 ご覧いただきたいのは埼玉県教委発表のこちらのデータである。

調査の概況

 以下、いくつか重要と思われる点をまとめておこう。

●卒業予定者数は微増
 12月15日現在における中学校等卒業予定者数は6万3427人で、前年同期の6万3368人より59人多い。
 が、6万数千人に対する59人であるから、「同じ」と考えて差し支えないだろう。

●高校進学希望者も微増
 高等学校等進学希望者は6万2513人で、前年同期の6万2496人より17人多い。
 が、これも「同じ」でいいだろう。
 高等学校等の「等」は、全日制・定時制・通信制のほか、高専や中等教育学校、特別支援学校も含むからである。

●全日制希望者は減少
 さて、重要なのはここからだ。
 全日制希望者は5万6798人で、前年同期の5万7430人より632人少ない。
 割合で言うと90.6%から89.5%と、1.1%の低下である。
 この632人、1.1%の減少分がどこに向かったかを見ておく必要がある。

●通信制希望者の増加
 通信制希望者は3406人で、前年同期の2894人より512人多い。
 割合で言うと4.6%から5.4%と、0.8%の上昇である。
 定時制や特別支援学校も僅かに上昇しているが、全日制の減少分は、ほぼ通信制に向かったと考えていいだろう。

 令和5年度は、全日制募集を15校で計600人減らしている。
 これに統合による2校120人を加えると720人減である。卒業予定者数がほぼ変わらないのにこれだけの人数を減らしたのは、通信制希望者の増加を見込んだからだと考えられる。

 通信制希望者3406人に対し、定時制希望者943人。
 今や通信制は全日制に次ぐ第二の選択肢になっている。
 定時制の募集人員は2140人だが、こうした状況では半分も埋まらないだろう。
 千人規模の希望者がいる以上、直ちになくすことはできないが、戸田翔陽や狭山緑陽、吹上秋桜、吉川美南などのような二部制、三部制のスタイルに徐々に置き換わっていくことになるだろう。

 通信制希望者3406人のうち、県外通信制希望者が2560人(75.2%)、県内通信制希望者が846人(24.8%)と、全国規模で展開する私立通信制希望者が圧倒的に多いのが特徴と言える。

●県内私立希望者の増加
 全日制の話に戻る。
 全日制希望者5万6798人のうち、県内希望者は5万2320人で、前年同期5万2911人より591人少ない。
 このうち県内公立希望者は4万528人で、前年同期の4万1261人より733人少ない。
 一方、県内私立希望者は1万1489人で、前年同期の1万1433人より56人多い。
 割合で見ると、県内公立希望者が0.4ポイント減少し、県内私立希望者が0.3ポイント増加した形だ。
 今回調査は12月15日現在であるから、中学校や塾での面談、私立高校での個別相談等を経て、さらに私立希望者は増加している可能性がある。
 
 明日以降は、今回高倍率だった学校や、逆に低倍率だった学校の今後の動向について分析してみようと思う。