非常に地味な企画であり、時間がかかる割には読まれない記事。
ということは分かっているが、一つの記録として残しておくのも悪くないだろう。
埼玉県公私立全校のサイトを一巡したが、見落としもあるかもしれない。
今年度卒業生は、丸々3年間をコロナ禍の下、過ごした。
入学式もなく、いきなり臨時休校で始まった学年だ。
授業も行事も部活も。すべて我慢を強いられた生徒たちだ。
式辞では全ての校長がこのことに触れている。
その意味でも貴重な記録となるだろう。
◆式辞掲載は公立文化なのか
以前にも書いたと思うが、式辞などをホームページに掲載するのは公立独特の習慣あるいは文化であるようだ。
今回、私立では4校が掲載していたが、大宮開成の松﨑校長以外の3人は、西武文理・柴田校長が都立、武南・遠藤校長と山村学園・平野校長が埼玉県立と、いずれも公立高校校長経験者だ。
◆経営者の名言を引用
式辞では偉人の言葉や古典からの引用が多い。
杉戸農業、鶴ヶ島清風では京セラの稲盛和夫、越谷南ではパナソニックの松下幸之助、山村学園ではアップルのスティーブ・ジョブズの言葉からの引用が見られた。浦和工業がトヨタの豊田章男、大宮工業が本田宗一郎の言葉を引用しているのはいかにも工業高校らしい。
大宮開成・松﨑慶喜校長は老子を引用。
越谷北では宮沢賢治からの引用がみられた。
武南・遠藤修平校長は浅田次郎の生き方と言葉を紹介している(ちなみに私は自分と同い年の浅田次郎作品はすべて読破しているので引用された言葉には共感した)。
伊奈学園・浅賀敏行校長は松本清張「砂の器」(主に映画)を題材に「対話の本質」について述べているが、式辞と言うより大学教授の最終講義といった趣で、なかなかの力作だ。自分にはこういう話、一生できないと思った(残り時間の問題ではなく才能の問題として)。
熊谷女子・佐藤智明校長は、アル・ゴア元米国副大統領が引用したブルキナファソ(西アフリカにある世界最貧国の一つ)のことわざを孫引きしている。
「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」というものであるが、岸田文雄首相も所信表明演説の中で引用している。佐藤校長もそこは分かった上で、岸田首相からの引用では軽いので、ノーベル平和賞受賞者の方を紹介したものと思われる。
以下、各校HPからピックアップ。
気になる学校があれば、リンクを貼ってあるので全文をお読みいただきたい。
【公立】
●朝霞(久住 毅校長)
第58回卒業式式辞
想定外と急変の連続であったが、貴重な学びと成長の機会であった。
●いずみ(小川 剛校長)
卒業証書授与式の式辞を掲載します。
卒業後も「時を守り、場を清め、礼を尽くす」の実践を。
●伊奈学園(浅賀敏行校長)
令和4年度卒業証書授与式
対話とは、互いが主張することで互いを理解し、彼我の間にある溝を埋めようと互いに歩み寄り、ともに合意点を目ざす営みである。
●岩槻北陵(竹本 淳校長)
第40回卒業証書授与式
「しなやかさ」を忘れずに長い人生を生き抜いてほしい。
●浦和工業(堀口真史校長)
令和4年度 第60回 卒業証書授与式
エンジニアの使命は、技術で社会の課題を解決しより豊かな未来を作り上げること。
●浦和商業(内田 靖校長)
卒業証書授与式挙行【校長ブログ】
未来を切り拓くアクティブラーナー(生涯学び続ける人)であれ。
●大宮(鎌田勝之校長)
第73回卒業証書授与式 式辞
皆さんが活躍するフィールドは埼玉県ではなく、日本でもなく、世界である。
●大宮工業(清水雅己校長)
令和4年度卒業証書授与式 式辞(要旨)
「自分に負けるな」「優しくあれ 心強くあれ」。この二つの言葉が、長い人生を力強く歩むための糧となれば幸いである。
●大宮東(上條 岳校長)
令和4年度 第41回卒業証書授与式 学校長式辞
学びとは「自己を高めるための積極的な行為」である。
●川口北(小出和重校長)
令和4年度 卒業式式辞
学び続ける人生を送ってほしい。
●川越女子(西野 博校長)
校長日誌 卒業証書授与式
「われ咲かむ われ践まむ われ播かむ」。校歌に歌い込まれた思いを胸に思う存分羽ばたいてほしい。
●川越総合(服部 修校長)
令和4年度総合学科第25回卒業式 式辞
「人に頼ることができる人が頼りになる人」になる。
●熊谷(加藤哲也校長)
第75回卒業証書授与式
熊高の矜持を、いつまでも持ち続けて欲しい。
●熊谷女子(佐藤智明校長)
卒業証書授与式 式辞
まだ誰もやったことのない未知の境地を切り開くことこそが、熊女の誇るべきチャレンジ精神である。
●越谷北(片野秀樹校長)
第52回卒業証書授与式式辞
未来を創造するリーダーの気概と優しさを持ち、皆さんの資質能力を惜しむことなく、世のため人のために生かしてほしい。
●越谷南(井上一也校長)
【校長室】令和4年度卒業証書授与式
絶えず学び続ける意欲と姿勢を持ち続けてほしい。
●狭山清陵(田部井 洋校長)
【校長日誌】卒業証書授与式を挙行しました
何か新しいことをはじめてみよう、これまで身を置いたことのない分野に足を踏み入れてみよう。
●杉戸(蛭間 督校長)
【校長メッセージ】令和4年度第44回卒業証書授与式校長式辞
Vision is important, but then you also have to have the persistence to keep working to make progress.
●杉戸農業(飯田 賢校長)
卒業式
創造力を目いっぱい発揮して、新しいものを創造し、みなさんの夢や目標を達成してほしい。
●草加南(川田清隆校長)
第45回卒業証書授与式 式辞
「自立」とは「自分だけで生きる」のではなく、「お互いに支え合って生
きる」ことである。
●秩父(町田邦弘校長)
第73回卒業証書授与式での校長式辞を紹介します
自ら描く志の実現によって、この社会がこの暮らしが少しでも良くなるように社会貢献することが秩高卒業生に課せられた使命だ。
●鶴ヶ島清風(石川良夫校長)
校長日誌 第13回卒業証書授与式を挙行しました
人生や仕事の結果は、「考え方✕熱意✕能力」の掛け算によって得られる。
●所沢(佐久間博正校長)
卒業証書授与式の挙行 がんばれ卒業生
社会や他人に支えられて生きて行くのではなく、支える「人財」になってもらいたい。
●豊岡(内田正俊校長)
豊岡高校75期生に向けて、卒業式での校長式辞です
みなさんは決断の連続の中で生きることになる。多くの枠組みを使いこなしながらも自分の問題として決断することが必要だ。
●新座(横山和良校長)
第48回卒業証書授与式を挙行しました
「みんなの心が共に響きあう学校」新座高校で学んだことがこれからの人生に役に立つと思う。
●新座柳瀬(伊藤孝人校長)
第15回(令和4年度) 卒業証書授与式式辞
理不尽を乗り越え、本日を迎えた皆さんには、これからの世の中をたくましく生き抜き、よりよい社会を創りあげてほしい。
●鳩ヶ谷(田口 剛校長)
【校長室】第33回卒業証書授与式
自立した社会人として地域に貢献できる人になってほしい。
●羽生実業(仲山嘉彦校長)
令和4年度第75回卒業証書授与式
これまで出会った人から様々なことを学んだ。これから出会う人からも多くのことを学ぶだろう。それらを大切にすれば、皆さんの人生はきっと上手く行く。
●日高(森 孝博校長)
第47回卒業証書授与式を開催しました
自分のことも、周囲の人のことも大切に守ることができる、そういう自分に気が付いたとき、あなたはまぎれもなく自立した大人になっていることだろう。
●三郷北(石井和男校長)
第41回卒業式式辞
私がこの世に生まれてきたのは私でなければできない仕事が何かひとつこの世にあるからなのだ。
●皆野(川窪慶彦校長)
令和4年度卒業証書授与式
自分は一人ではない、お互い支えあって大きな成果を出してきたのだ。
●宮代(山﨑正義校長)
第39回卒業証書授与式 校長式辞
自分のことは勇気と覚悟をもって自分で決めるのだが、その前に誰かに相談できるとよい。
●与野(鈴木 健校長)
3/13 卒業式が行われました
これからの世界は自分たちが背負うという気概と、これからの世界は自分たちが変えられるという自信を持って巣立ってほしい。
●和光国際(鈴木啓修校長)
第34回卒業証書授与式校長式辞
責任のある大人として民主的な社会の「守り手」になってほしい。
【私立】
●大宮開成(松﨑慶喜校長)
令和4年度卒業式 式辞(要約)
この3年間は「本当の心の持ち方」を身に付けた、尊い時間だった。
●西武文理(柴田 誠校長)
学校長 式辞(全文)
変革に臆病な大人になってはいけない。成長しない大人にはなってはいけない。皆さんには、輝かしい舞台が待っている。
●武南(遠藤修平校長)
第57回卒業式式辞
自分の才能に気づき、自らの役割を創造し、社会に役立つ人となることを願っている。
●山村学園(平野正美校長)
令和4年度卒業式 校長式辞
自分に慢心することを戒め、自らの志を高く掲げ、新たな時代を創造する原動力となって活躍して欲しい。
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