スポーツは面白い。するのも楽しいが見るのも楽しい。
 今回のWBC。
 リアルタイムでテレビ観戦することはなかったが、結果を知ってからニュースや動画サービスで見ても十分に楽しめた。

 優勝決定後、おびただしい数の報道がなされているが、中ではテレビ朝日「報道ステーション」の栗山英樹監督インタビューが見ごたえ(読みごたえ)があった。

 【報ステ全文】ラスト大谷、ダルビッシュ秘話、源田の負傷…栗山監督に聞くWBCの裏側
 
 聞き手は東大野球部出身の大越健介キャスター。
 学生時代、日米大学野球に出場するなど競技に精通している大越キャスターだけに質問も的確だ。

 インタビューの基本は、視聴者や読者が聞いて欲しいと思っていること聞いてあげること。
 それと同時に取材対象者(今回は栗山監督)が、そこを聞いて欲しい、また、そこを語りたいと思っていることを聞いてあげること。
 この二つを両立しバランスをとることは非常に難しいのだが、さすがプロのインタビューは違う。
 仕事でインタビュー取材をする私としては、大変勉強になった。

 栗山監督は、インタビューの中で、こんなことを言っている。
 「子どもたちにどんなメッセージを与えることができたか」という問いに対する答えである。

 「個人は大事ですけど、誰かのために頑張っているという面が野球にはあるので、そういう面も伝わったらうれしいなと思います。人を助けてあげるというのは、自分が力をつけないと人を助けてあげられない」

 「誰かのために頑張っているいるという面が野球にはある」。
 これは野球だけではなく他の競技にも言える。
 仕事や職場でももそうだし、人間関係全般に言えることだろう。
 「誰かのために頑張ること」の楽しさやカッコよさが伝わればうれしいというのは共感できる。

 それと、「人を助けてあげるというのは、自分が力をつけないと人を助けてあげられない」ということ。
 たしかに。
 助けたいという気持ちはあっても、自分自身の知識や技術や経験がともなわなければ実際にそうすることはできない。

 人を助けたい。
 人を救いたい。
 人の役に立ちたい。
 よろしい。では、努力してそれが出来る人になりなさい。

 これは教育の現場で今すぐ使えそうな言葉だ。
 そう言えば、栗山監督は東京学芸大学出身で、もしかしたら先生になっていたかもしれない人だ。
 前回優勝時の原辰徳監督からはこういう言葉はたぶん出てこなかったろう。

 栗山監督もすばらしいが、大谷翔平選手もすばらしい。
 この場面でこんな言葉を言える28歳って何なんだ。