恒例、専門学科を訪ねるシリーズ。
 今年度第一弾は浦和工業高校。電気科・機械科・設備システム科・情報技術科の4科体制。
 埼京線「中浦和駅」から徒歩12~13分の好立地なため、川口市など南部地区、越谷・草加など東部地区、新座・朝霞・和光・志木など西部地区から通う生徒もいるが、やはり中心はさいたま市内生で、自転車通学が7割という。

 1961(昭和36)年創立だから間もなく60周年。
 埼玉県内では川越工業(明治41年)、大宮工業(大正14年)、川口工業(昭和12年)などに次ぐ歴史を持つ。昭和30年代、日本が高度成長期に入って行く時代に、その担い手を育成すべく同校はじめ、いくつもの工業高校が設立された。

 普通科志向が強まった近年、生徒募集では苦戦を強いられているが、それでも各科とも9割以上はキープしている。
 就職は堅調だ。これは必ずしも好景気だからというわけではない。機械や設備のメンテナンスは常に必要であるため、就職状況はむしろ景気には左右されないのだそうだ。なるほど、そういうものなのか。聞いてみないと分からないものだ。

 情報技術科の場合、卒業生の25%(4分の1)以上が大学進学だ。専門学科に行くと大学進学の道が閉ざされると思っている人も多いようだが、普通科でも10%台あるいはそれ以下の学校がいくらでもあるから、それに比べれば工業大学や工学部への道はかえって開かれているとも言える。ただし、指定校制度を用いての進学であるから、選択肢は限られる。

 工業高校はどこでもそうだが、校内は常に整理整頓されている。清掃は行き届いており、私は校内巡回中、ただ一つのゴミも見ることはなかった。まあ考えてみれば当たり前で、かれらは機械や設備の点検や修理を将来の仕事にしようとしているのだ。身の回りの環境を整備できなくてどうするという話だ。

 専門学科の選択はある意味で職業の選択だ。これは中学生にはなかなか難しい。この段階で何か一つに絞っていいものか、可能性を狭めてしまうのではないか、そんな不安もあるだろう。
 だが一方で、技術や資格は武器である。何も武器を持たずに社会に出るよりもむしろ可能性は広がるとも言える。仮に技術や資格がそのまま使えなくても、それを身につけたプロセスは自分の中に残るからそれを応用すればいい。

 とりあえず普通科。
 だったら、とりあえず専門学科で技術や資格というのもありだろう。