いい大学に行けば、いい人生が送れるかについて考えてみる。
 「ほう、そうかい。でも、その前にいい大学って何だよ、いい人生って、何だよ」

 そう来ると思った。じゃあ、そこがはっきりしないと先に行けないという人は、ずっと考えてなさい。たぶん一生かかると思うけど。
 私はせっかちな方だから、そこはすっ飛ばして先に行かせてもらう。

 いい大学に行くといい人生が送れる、の間に一個抜けてるんだ。「勉強する」っていうのがね
 1 いい大学に行って、ちゃんと勉強した
 2 いい大学に行ったのに、ちゃんと勉強しなかった。
 3 ダメな大学に行ったけど、ちゃんと勉強した。
 4 ダメな大学に行った上に、ちゃんと勉強しなかった。

 1と4の結論ははっきりしている。いい大学に行ってちゃんと勉強すれば、いい人生を送れるに決まってるじゃないか。逆に、ダメな大学に行った上にちゃんと勉強しなければ、いい人生が送れるわけがない。

 問題は2と3だ。
 私の豊富な人生経験によれば、と言っても1回しか経験していないが、それによると、人生前半戦はやはり、いい大学が有利だ。
 そうだな、20代から30代、ことによったら40代くらいまではリードを保てるんじゃないかな。ダメな大学が盛り返せるとしたら、その後だ。

 で、ここで考えなくてはいけないのが人生の長さだ。
 私が生まれた頃(昭和26年生まれ)の平均寿命は60歳くらいだった。企業の定年も55歳だった。このくらいだと先行逃げ切りも可能だが、今や人生が思いのほか長距離レースになってしまった。その分、逆転劇も起こりやすくなったということだ。

 ダメな大学に行っても、ちゃんと勉強すればいずれ逆転可能ということが確かだとして、実際にこれを行うことは困難である。
 ダメな大学だから周りにいるのはちゃんと勉強しない連中が多い。いい大学に入ってちゃんと勉強することが、図書館で読書することだとすれば、ダメな大学に入ってちゃんと勉強することは、居酒屋で読書するようなものである。

 つまり、いい大学に入ることを勧めるのは、直ちにいい人生を送れるからではなく、ちゃんと勉強しやすい環境を得られるからである。